できるだけ近くの工場から運ぶことでコストを抑制

しかし、製造するボトルの種類が増えれば、その分コストが上がるはずだ。

「たしかに、作り手目線だけで言えば、ボトルを集約したほうがコストは下げられます。でもさまざまなご要望をお持ちのお客様がいらっしゃる中で、それぞれのニーズに合わせたシーンで飲んでいただくことを優先したい、と考えているんです。もちろん、コスト面は非常に厳しくなってはいますが」

伊藤園は地域毎に拠点があるが、自社工場は持っておらず、製品の生産は全国にある約50社の協力会社に依頼している。

「物流網を細かく整備しており、できるだけ近くの工場から運ぶことで、物流費を抑えています」

特定の得意先への営業を重視する“ルートセールス制”を敷いていることも、いたずらに物流網を拡大することを防ぐことにつながっている。こういった体制が、値段を上げずに増量を繰り返せる要因の一つだ。

「今後どれだけ刻んでいくかは、まだ分からない」

冒頭で紹介したように、SNS上で伊藤園の麦茶の増量をネタとしてイジりながら歓迎するユーザーは多い。

「たいへんうれしいですね。われわれは『暑さ対策、水分ミネラル補給のために麦茶を飲んでください』ということをさまざまな形で発信しているんです。そういった中で、『伊藤園の麦茶って量が多いよね、増えてるよね』と気づいていただけているのは、発信が届いているなと感じ、ありがたいと思っています」

暑さ対策を発信している立場から、相澤氏は今年の夏に特に不安を感じているという。

「例年であれば夏が近づくまでに30度の日などがあって、体が少しずつ暑さに慣れていきます。でも今年は春先から外出自粛が続いているので、急に暑くなってから外に出ることになります。そうしたときこそ、熱中症になるリスクが高いんです。また、マスクをしていると喉の渇きが感じにくく、脱水症状に陥っていても気づきにくい。今年は特に水分補給を怠らないでください」

最後に、今後も麦茶の量が増える可能性があるのか聞いたところ、「今後どれだけ刻んでいくかは、まだ分からないですね」とのこと。今後もさらなる増量が期待できるかもしれない。

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