韓国国内の被害者たちは文在寅を批判
今回の徴用工問題の火種の根本は、韓国政府が日本からの補償金をインフラ投資等に回し、被害者や遺族に届いていなかったことに端を発しています。
その見返りに、韓国は日本の経済協力金を手に「漢江の奇跡」と呼ばれる経済発展を遂げたのです。韓国の経済発展において、日本は資金だけでなく、多くの日本の技術者たちが韓国に技術指導に渡り、サポートしています。白書によれば「75年までに個人への補償に充てたのは5億ドルのうち、わずか2000万ドルであり、元徴用工への補償は十分とはいえなかった」と報道しています。本来、被害者や遺族が受け取るはずのお金が手元に渡らなかったのです。
日韓関係について客観的事実を知る多くの韓国人が実は存在しているのもまた事実です。日帝被害者報償連合会・会長の金仁成氏らが、韓国の大統領府である青瓦台前で毎週行っている「火曜日デモ」はほとんど報道されることがないデモです。「韓国政府が日韓基本条約で受け取ったお金を被害者や遺族に返すべきだ」と考えている人たちが、返還を韓国政府に要求する運動が「火曜日のデモ」なのです。
今回、問題となっている「日本企業の資産差し押さえ」については、被害者や遺族から始まったものではなく、「弁護士が勝手に始めたもの」であり、「弁護士らの行為が日韓関係を悪化させる原因になったことで、一部の遺族はとても困惑している」との報道もあります。
徴用工裁判においては、被害者が置き去りにされ、どこまでも「反日」の道具として韓国政府が利用しているのです。そのため、問題が複雑化してしまい、被害者は日本からではなく、韓国政府によって、何重もの被害を受けているのが事実なのです。
徴用工訴訟の対象となっている日本企業は70社以上
韓国の根底にある「恨」は、歴史的に大国から支配をされ続けた圧力が「恨み」として根付いているのです。いまもなお、南北は分断され、米国、中国、ロシアの顔色を見ながら国際政治を渡っていかなければならない厳しい状況に置かれている、その不満を一部、「反日」といった感情で処理しているのです。今回の、「徴用工訴訟」からの「現金化」をめぐる問題も、韓国に根付いた大きな「恨」の鬱憤の“一側面”にすぎないのです。
徴用工訴訟の対象となっている日本企業は三菱重工業、不二越、日立造船など70社を超えており、日本製鉄以外の日本企業への賠償を求める裁判が相次いでいます。もし、日本製鉄の資産売却が実行されれば、前例となり、他の日本企業の不安も高まることになります。
外務省幹部は「前例をつくってはいけない。売却するなら対抗措置を取る必要はある」と述べています。
昨年の日本製品の不買運動によって韓国から撤退を余儀なくされた日本企業は日産自動車、オリンパス、オンワード、デサント、ファーストリテイリング傘下のGUなど、数多く存在しています。日本企業の資産売却によって、日本企業のさらなる韓国離れは進みかねないでしょう。そのことは、韓国経済にとって何一つ良いことはなく、ただ「反日」を旗印に一時的に支持率回復につながる程度のメリットしかないのです。