「コンビニ」ではなく「ローソン」として認知されたい

——競合のセブン-イレブンにはプレミアムラインがあります。またセブンもPBデザインを刷新したばかりですが、視認性の高さを重視していて、ローソンとは方向性が違います。

そうですね。僕もセブン-イレブンに依頼されていたら、あの流れをきれいに踏襲するようなデザインをやっていたと思います。でもコンビニのあり方はひとつではないはずです。むしろ多様化していかないといけない。今回のPBデザイン刷新は「コンビニ」ではなくて、「ローソン」としてちゃんと認知されるためのものだと思っています。

——ローソンにはどんな特徴があると捉えていますか。

「ローソンらしさ」をどう捉えるかですよね。僕は他社と比べて「商店街的」だと思っています。からあげクン、悪魔シリーズ、バスチー、MACHI cafeなどいろいろなブランドが1つのお店の中にあって、それぞれが強い個性を持っている。それは他のコンビニとは違うところかと思っています。今回、PBデザインでプラットフォームを意識したのも、例えば第二第三のバスチーのような新しい特徴のある商品が出てきやすいように、そして出てきた時に、より目立ちやすくなると思ったからなんです。

SNSで自分がたたかれるのはいいけれど……

——今回、ツイッターなどではデザイナーである佐藤オオキさんを名指しで批判しているものもありました。デザイナーの責任というのはどのようにあるべきだと思いますか。

「nendoの佐藤オオキがデザインしています」と発信している以上、僕の責任を問われることは避けられません。ものづくりをする人は一定の覚悟をする必要があると思っています。700もの商品数を変更する今回のような規模のプロジェクトになると、多くの企業や関係者が携わるので、デザイン事務所の手から離れて進行する部分もありますが、四捨五入すれば自分。僕の守備範囲外でも、責任は引き受けるべきだと考えています。

ただ、成果物に対して僕がたたかれるのはいいんですが、スタッフまでたたかれるのはしんどいですね。スタッフの子供が学校で「nendoはネットでこう言われている会社だ」といじめられたら辛いです。それだけは心配しています。

SNSでの批判も悪いことではないと思います。文化を深めるには議論が欠かせません。デザインって何だろう、利便性って何だろう、と多くの人が考えるきっかけになる。そうした議論は日本でもっと行われていいものではないでしょうか。

撮影=今村拓馬
nendoのスタッフは現在60人弱だ。
(聞き手・構成=渡部千春)
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