「不便をお願いする話なので、根拠のある数字を示し、丁寧に説明し、納得していただくことが大事」と落合氏は言う。

「新型コロナに対する受け取り方は、人によっても違います。すごく気になる人もいれば、そうでない人もいる。多様な感じ方がある中で、一人一人にお願いして、みんなで街を守って行くためのルールとして策定し、運用しています」

喫煙所も新しいルールで運営されている。「人数制限をして、中では距離をとって飲食・会話・通話はご遠慮いただいています。ルールを守っていただけない場合は、喫煙所は閉鎖します。クラスター発生を防ぐために、そして街の安全を守るために、徹底して行きたいと考えています」

すでに喫煙者の肩身は狭いが、新しい喫煙のマナーを守れば、居場所は確保できそうだ。

撮影=遠藤成
喫煙所利用の新しいルール。利用時間は5分以内。会話、飲食は禁止など。新しいルールを守ることが、喫煙者の居場所を守ることになる。

幕末の日本を訪れた外国人が驚いたこと

日本政府の新型コロナ対応は、遅い、手際が悪い、手ぬるいと国内外から叩かれてきた。にもかかわらず、ここまでは欧米と比べれば被害を小さく抑え込めている。

海外メディアからは「不可解」「日本の奇跡」などの声があがるなか、安倍晋三総理大臣は「『日本モデル』の力を示せた」と誇らしげに述べ、麻生太郎副総理は「民度のレベルが違う」と胸を張った。

確かに日本人の生活スタイルは新型コロナの感染拡大に有利に働いたのかもしれない。事実、幕末から明治初期に日本を訪れたペリー提督、在日米国総領事館の通訳ヘンリー・ヒュースケン、トロイアを発掘したハインリッヒ・シュリーマンらの日記を読むと、3人ともに「日本人は世界一清潔な民族である」と驚き称賛している。これは素直に誇ってもいいだろう。

しかし、その一方で3人とも「日本は互いに監視をしあう社会である」と指摘していることも忘れてはならない。マスクの争奪戦、飛び交うデマ、自粛警察、他県ナンバー狩り……。新型コロナは人間のダークな部分を炙り出してきた。秋以降、事態が悪化すれば、再び嫌がらせや陰湿ないじめが、再燃する恐れは十分にある。自分は冷静だからと安心はできない。誰でも自粛警察になる可能性は否定できないのだ。

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