――バス業界全体では、どのような新型コロナへの対応を行っているのか。

【中村】結局のところ、我々は知恵を絞ってコロナと共存するシステムをつくっていかなければならないだろう。そうしたなか、バス会社を含む観光業はやはり「楽しさ」がポイントだ。少しでも不安な要素があれば、お客様の旅行したい気分が削がれてしまうので、このあたりを解消していく必要がある。

はとバス 代表取締役社長 中村 靖氏

そこで日本バス協会では、安全性をアピールするために「バスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を策定し、感染拡大防止に取り組んでいる。運行中の対策としては、従業員のマスク着用の徹底、車内の換気、一部の座席を使用禁止にして3密を防ぐ、運賃・荷物の受け渡しの際に乗客との直接接触を減らす、健康管理を徹底するなど。また利用者にも車内での手指消毒などをお願いしている。

こういうガイドラインをしっかり守っている業者を認定する制度を国が設けて、「認定マーク」や「認定シール」などを発行してくれると大変ありがたい。それを見ればお客様が安心するからだ。協会としても陳情を重ねているものの、実現するにしても時間がかかるだろうし、協会独自のPRなど、できるところから進めていきたい。

東京近郊のお客様から定期観光に誘う

――今後のはとバス自身の取り組みは。

【中村】先ほど触れた2階建てオープンバスを使った「外階段で昇る東京タワー」「TOKYOパノラマドライブ(レインボーブリッジ&銀座)」などの定期観光の運行も始めた。オープンバスで都会の風を感じ、自分の足で東京タワーを昇って、巣ごもり中の運動不足を解消してもらっている。さらに玩具メーカーのタカラトミーとの特別コラボ企画「トミカ50周年記念ラッピングはとバス」や、「黒いはとバス」として知られるラグジュアリー調の「ピアニシモIII」を活用した新規ツアーの開拓も進めたいと考えている。

はとバスのお客様は地方の方が6割で、首都圏近郊のお客様は4割ほど。20年8月始動の旅行需要の回復を目指す政府の「Go To Travelキャンペーン」や21年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックにも期待しているが、まずは東京都内の定期観光から運行コースを増やし、その後で郊外へ行くバスツアーを徐々に再開していきたい考えでいる。

(構成=篠原克周 撮影=石橋素幸)
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