新橋のプラセンタクリニックと共通する点

新橋にある某自費美容クリニックではプラセンタ(美容効果があるとされる胎盤から抽出した成分)注射2本を税込750円で提供していますが、ビルはお世辞にもきれいだとは言えず、手厚いサービスというよりは、どちらかといえば高回転を重視したクリニックとなっています。銀座などの別のクリニックでは価格は2倍以上での提供になっています。

しかし、そのクリニックはいつも「行列のできる」大繫盛のクリニックとなっており、文句を言う人はいません。高回転はこの場合、消費者にとって短時間でサービスを受けられる「価値」なのです。必ずしも、美容クリニックだからといって長時間かけてゆっくりとぜいたくに過ごす必要はありません。今や、「日本一」のプラセンタクリニックとなっています。圧倒的に市場の価格より安いものが提供され、効率良くサービスを受けることができた場合、消費者は不平不満を言わないのです。

サイゼリヤは飲食店のなかで、その最たる例でしょう。市場の値段に比べて圧倒的に安く、しかも、おいしい。値上げしても、応援のコメントが寄せられる。一番、最悪なのが中途半端な値段で中途半端なサービスを提供している商売をしている場合は、ファンがいない代わりにクレーマーが付きます。

お得感=生活を豊かにするものと感じる

「お得感」を「生活を豊かにするもの」だと考えると、サイゼリヤは日頃から「お得感」という「価値・サービス」を消費者に提供していることになります。その「お得感」は数値化できませんが、デジタル社会では、今、この「お得感」は経済成長へのインパクトがあると考えられており、お得感を数値化しようという動きがあります。GDP+iという考え方です。

GDPは経済成長の指標として扱われてきましたが、GDPだけでは経済の成長を測れなくなってきているのです。世界のGDP成長率はリーマン・ショック後に低迷を続けていますが、それにもかかわらず、世界の各種機関が実施した調査結果などから、アメリカを除く世界の多くの国で、消費者の生活満足度が高くなっていることがわかっています。