「オンライン」だと、「気持ち」が伝わらない
われわれは、他人の「心情」を読み取るときに、9割を「ノン・バーバル(非言語)」コミュニケーションに頼っていると言われています。言葉の中身(言語情報)よりも、表情(視覚)や、声のトーン(聴覚)で、相手の「気持ち」を読み取っているのです。当然のことながら、メールより電話、電話より対面、のほうが、相手の考えていることがより正確にわかります。
その点でいうと、「オンライン」は、表情も声もわかるので、意思疎通の点で優れているように思えます。しかし、そこに落とし穴があります。リアルな会話では伝わるはずの、「微細なノン・バーバル」(微妙な表情の変化、視線、姿勢、呼吸、しぐさ、あいづちなど)がパソコンの小さなモニター上では伝わらないのです。
われわれは、相手が発するこういった細やかなサインを「無意識」のうちに受け取っています。そして、それに合わせ、自分の発言を「微調整」しています。自分の話を「聞かれているか?」「興味を惹けたか?」「飽きていないか?」「好意的か?」などを常にチェックしながら、話を短くしたり、言い方を変えたりしているのです。
オンラインであるがゆえに、相手をうまく「観察」できず、知らないうちに自己中心的になってしまう。これが「オンラインKY」が生まれてしまう原因です。
「オンラインKY」にならないための「コツ」
オンラインは「すれ違い」が起きやすい。会議の進行がうまい人は、それを知っているので、リアルな環境に近づけるために、さまざまな工夫をしています。ここでは、そんな人たちが使っているテクニックをいくつかご紹介します。
会議はできるだけ有意義な意見が交わされる場にしたいものです。もし「報告会」や「プレゼン」など、一方的な発表の場であっても、参加者からの意見を求めていることを強調します。これだけで、聴き手の参加意識を高めることができます。
伝える内容は、できる限り細かく分けます。たとえば、20分の説明なら、10分でブレイクを入れて、意見や質問を受け付け、参加者のリアクションを確認します。それによって、強調するところを変えたりとか、新たな説明をつけ足したりなどのチューニングをしていきます。
「オンライン会議」では、できるだけ多く、参加者の名前を呼びます。人は、自分の名前を呼ばれることで、尊重してもらっていると感じます。また、意見を求められていることがわかるとモチベーションが高まるのです。
「リアル」では見えていたものが「オンライン」だと見えなくなる。「コミュ力」のある人は、こういった環境の変化に敏感です。リモートワークが多い方は、このような「すれちがい」を減らすために、伝え方を工夫してみてはいかがでしょうか。