年3回、生活必需品を中心に5万円の爆買い

アメリカ人の生活スタイルだと月2回くらいコストコに出かけて、大量の商品を購入し、それを冷蔵庫や戸棚に詰め込んでゆっくりと消費します。マヨネーズの1ガロンボトル(1ガロン=約3.8リットル)なんてどう使うのかと日本人は思ってしまいますが、アメリカ人は平気でそういう大容量の商品を買って帰ります。

一方、日本人のコストコファンの利用法は少し違っています。主婦たちの間では、ひとりが会員になったうえで友達3、4人と一緒に買い物に出かけ、大きなサイズの商品を購入し、それを小分けしてお得なショッピングを楽しむという方法が人気です。

私は東京のど真ん中に住んでいるため、一番最寄りのコストコはどこもだいたい自家用車で1時間かかる距離にあります。そのため普通のコストコファンとは違い、コストコで買い物をするのは年間で3回くらい。毎回、生活必需品を中心に5万円ぐらいの爆買いをしていました。

具体的にはコーヒー豆とか乾麺とかサプリとか保存のきくお気に入り商品を大量に買い、同時に野菜や肉、デリカテッセンの食品などを10日分ほどまとめて買って帰ります。ちなみにコストコの価格はそれくらいの買い物の頻度でも十分にお買い得で、年会費4400円(税抜)は爆買い一回だけでも十分に元がとれます。

「そもそもコストコは大量買いをするアメリカ人のライフスタイルに合っているけれども、住宅の狭い日本人の生活習慣には合わない」という意見がコストコ上陸時から根強くありました。しかし20年たってみると当時日本に上陸した海外の大手小売店の中で日本に定着したのはコストコとアマゾンぐらいです。

スタバの豆が300円も安く買える

そしてコストコが定着した最大の理由は、このアメリカ的なライフスタイルが日本人の一定の顧客層にとって合理的だったからだと私は考えています。

コストコがターゲットとする顧客層は、個人の場合は年収500万円以上のいわゆる中流の上の収入層です。ひとつ上のぜいたくに慣れているけれども、それなりに節約も必要と考える収入層に、ワンランク上の商品の激安大量消費というスタイルが合致しました。

具体例をひとつ挙げましょう。コストコでは昔からスターバックスのコーヒー豆を販売しています。最近では一般のスーパーでも販売されていますが、以前はスタバの店頭以外で豆を買える場所はコストコだけでした。これはスタバの創業時にコストコの経営者が社外取締役だったことが起源だと言われています。

スタバの店頭でコーヒー豆250gを1000円程度で購入している人がコストコに行くと、もっと大きなパッケージのスタバのコーヒー豆が販売されているのに気づくわけです。豆の種類にもよりますが、スタバと同じ250gに換算するとコストコで買えば700円程度になります。そうだとすれば、どうせ毎朝飲むコーヒーならコストコで買ったほうがお得です。

これと同じ計算がコーヒー豆だけでなくすべての食品、日用品で成り立ちます。それがコストコ型のライフスタイルです。ワンランク上の定番商品をまとめ買いして自宅で楽しむ。この経済的合理性が、忙しい中流層に当たりました。その結果、コストコは日本に定着したのです。