育てたいように育てるのでなく、子が育ちたいように育つのを見守る

教室で、生徒たちが難しいパズルを自力で解けたときと同じ表情だったそうだ。

Tシャツにもさくらちゃん(撮影=遠藤素子)

とにかく今は子育てが楽しいという宮本先生。夜眠るときは、明日は何をしようと考えわくわくするという。さくらちゃんに絵本を読み聞かせるときも主人公になりきって、演者さながら。

「娘が楽しんでいるから自分も楽しい。授業と同じですね」

そんな宮本先生を見て、若葉さんは「悔しくなるほどうらやましいです」と一言。睡眠不足が続く横で、わくわくしながら眠るパパを見れば、悔しくなる気持ちもよくわかる。

今はそんな状態の若葉さんだが、宮本先生と結婚する前に、先生の『強育論』を読んで、「この人についていく!」と心を決めたほど感銘を受けたという。

「子育て本ではありましたが、私自身の生き方にも刺さる言葉がたくさんあって。『自らの弱い心に打ち勝っていきながら成長するのです』とか、『謙虚であるということは自分の弱点や欠点を素直に認め、受け入れること』とか。教育に関しては、『学力とは、いい学校に入るために必要なのではなく、よりよく生きていくために必要なのだ』とか。さくらに対する子育てを見ていて、まだ赤ちゃんではありますが、有言実行、その通り実践していてすごいなあと思います。一緒に子育てを不安がる旦那さんでなくて、本当に良かったと思っています」(若葉さん)

「この子を見ていると本能の赴くままに、毎日ものすごく学習していることがわかります。この知的欲求を十分に満たしてやれば、子どもの能力は伸びるんです。だから親は育てたいように育てるのでなく、子どもが育ちたいように育つのをハラハラしながら見守るしかない。私がいつも自分に言い聞かせているのは『ずっとそのままで一生懸命、生きてください。父ちゃんは邪魔しませんから』ということだけです」(宮本先生)

ストレスが少ないからか、さくらちゃんはご機嫌なことが多い。

「歯磨きとおむつ交換のときは嫌がることもありますけれどね。これだけは無理やりでもやらないといけない(笑)。それでも、ちゃんと表情を読み取って、少しでも心地よい状態をつくるようにしています」と宮本先生が笑うと、傍らで若葉さんが「夜泣きもなくなるようにしてほしいのですけどね」と本音をもらした。