健康診断の結果も、気にしすぎるのはよくありません。基準値の多くは20~30代の数値を基準にしたものであって、中高年になったら基準値からはずれるのは自然なこと。19年から数値が上がった下がった、と一喜一憂していては消耗するだけです。

健康診断の数値の中で、多くの人がとらわれているのが、コレステロール値です。かつては総コレステロール値が220mg/dl未満が正常、超えると異常というガイドラインがあり、食習慣・運動習慣の改善が求められました。しかし、さまざまな調査研究により、かつての常識は見直されています。

そもそもコレステロールは、細胞膜をつくる主成分で、ホルモンを体内で合成する働きがあります。低下することで血管が破れたり、免疫力が落ちるリスクが高くなることもある。心臓さえ悪くなければ、300mg/dlまでは心配しなくてもよいでしょう。血圧も個人差があります。「年齢+90」ぐらいを基準にして、体調に問題がなければ無理に降圧剤を飲むこともありません。

趣味は三日坊主で終わってもよい

そしてストレス対策として、かなり効果的なのが「ある程度、いい加減に生きる」ということです。

かつてフィンランドではこんな調査が行われました。循環器系の弱い40代前半の男性を集めて、マジメに健康管理をするグループと、健康管理しないグループに分割。最初の5年間、前者には健康面でのアドバイスを丁寧に行い、薬も処方しました。対して後者は何の制約も設けず、好きなように暮らしてもらったのです。はたして10年後、多くの面で健康状態がよかったのは、後者のグループでした。

マジメすぎるのは年中神経がたかぶっている、つまり交感神経が優位になっている状態です。それが免疫力を下げる原因になっているかもしれません。同様の理由で、働きすぎもよろしくない。「ゆるっと生きる」のが一番です。「~すべきだ」「~しなければいけない」という考え方をやめて、完璧主義を捨てましょう。

楽しく生きるために、趣味を持つのもいいことです。しかし、これも「極めよう」「最後までやり遂げよう」と自分を追い込んでは逆効果になります。三日坊主で終わってもいいから、楽しむことを優先したいものです。

生きていくうえで、ストレスをゼロにすることはできません。場合によっては「ストレスをなくそう」という考えがストレスになることもあります。ストレスは生きている証拠と気楽に受け止め、うまくつきあってください。