(4)体温を上げる

筋肉をつけて体温をキープする

体温が低いと、全身の代謝が悪くなります。肩こり、頭痛が起きやすくなるだけでなく、免疫細胞が働きにくくなり、がん細胞が元気になるというデメリットまであります。免疫細胞は、弱まるのは体内温度が35度台。活発化するのは37度以上、わきの下の検温でいうと36.5度以上です。

体温を上げる方法のひとつが筋肉を鍛えることです。筋肉は基礎代謝の70%を占め、体が生み出す熱の30~40%をつくっています。といっても、激しい筋トレをする必要はありません。普段から体を動かし、さらに筋肉のもとになるたんぱく質を含んだ肉・魚を摂取することで、筋肉量を落とさないように心がければよいのです。

これから夏場に注意したいのが、冷房とのつきあい方です。冷房に当たりすぎると体内の深部を冷やし、体温調整している自律神経のバランスまで乱してしまいます。そうなると免疫力が下がり、だるさ、疲労感などの症状が現れます。外気と室内の温度差を5度以内に抑えながら、冷房に長時間当たることは避けたいものです。

自分の裁量では冷房調整できない、もしくは冬に寒い職場では、自ら体を温める必要があります。ポイントとなるのは、足元の対策です。冷たい空気は下に流れ込んでいき、足元が冷えると全身の血流も悪くなります。靴下は足首が隠れる長めのものを着用し、腰から膝下は膝掛けでカバー。足首同様、太い血管が通っている首や手首も、冷やさないほうがよい部位なので、露出を少なめにしましょう。また長時間同じ姿勢でいるのも、血行が悪くなる原因のひとつ。座りながらでいいので、つま先とかかとを交互に上げ下げする運動をすると、血行が促進されます。

そして体を温めるには、シャワーで済まさず、入浴するようにしましょう。副交感神経が優位になって、NK細胞が活発になるからです。理想的なのは、40度のぬるめの湯に15分程度つかること。半身浴だと心臓への負担も軽減されるので、年配の方にはよりよいです。また深夜2~3時ごろの睡眠中は、一日のうちでもっとも体温が低くなる時間帯。そこで寝る前に入浴して体内温度を上げておき、睡眠中の免疫力を高めるという方法もあります。

なお入浴の際、石鹸を使って体をゴシゴシ洗いすぎないように気をつけましょう。皮膚表面の皮脂は、病原体が皮膚から侵入するのを防ぐ役割があるのに、洗いすぎはそれを取り除いてしまいます。中高年であれば、石鹸を使うのは2~3日に1度程度で十分です。

最後に体を温める食材を紹介します。代表的なのは、漢方の薬効成分として古くから重宝されているショウガです。辛み成分のジンゲロンが手足の先の血管を広げて体温を上げる効果が、香りのもとであるショウガオールは胃腸を刺激して、体の深部体温を上げる効果があります。

体を冷やさないポイント