「核の傘」こそがフィクションという現実

さて、本書でアメリカよりも先に北朝鮮の核を落とされるのは日韓だが、核に見舞われた日本の状況に一章を割いてはいるものの、日本の首脳も自衛隊もこの小説には登場しない。防衛省を標的とした核が炸裂した後、東京消防庁総監が何とか救助に当たろうとするが、救助を行う消防士を殺戮し被害を拡大させるための通常ミサイルが投下される「ダブルタップ」戦略(これは第二次大戦以降、連合国やアメリカが取った手法)に阻まれた、という記述があるのみだ。

ジェフリー・ルイス『2020年・米朝核戦争』(文藝春秋)

専門家の手によるシミュレーション小説であるだけに、「描かれていないこと」からも読み取れるものがある。それは、北朝鮮による日韓への核攻撃ののち、米国が「同盟国への核攻撃に対し、北朝鮮に核報復を行うか否か」について、検討の俎上にすらのっていないということだ。

在日・在韓米軍基地も標的とされ米兵の死者を出していること、また、トランプが短絡思考によって核攻撃に及ぼうとする記述はある。しかしそれは「あのロケットマン(金正恩)、やりやがったな」「アメリカに落とされる前に叩きのめしてやる」といったものでしかなく、核保有国が同盟国に核兵器の抑止力を提供し安全を保障する「核の傘」を想起させるような話は出てこない。むしろ側近たちは「やられたのはアメリカではありません」とトランプを押しとどめようとしている。

もちろんこれはフィクションである。だが2018年までの事実に基づいて書かれている。「アメリカの方針」を大きく外してはいないだろう。「核の傘」こそがフィクションなのだ。

イージス・アショアの建設中止…課題は山積み

なお、著者が日本を軽視しているわけではないことは、米国の被爆者らの証言として書かれている記述が、日本の広島・長崎の被爆者の証言を引用したものであることからもわかる。

ホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーを務めた経験のある戦略家のエドワード・ルトワックは「北朝鮮の核ミサイルに対しては、日本は自力で対処するしかない」「対北朝鮮に対しては、日本はアメリカを頼ることはできない」「北が核を持った以上、アメリカは日本が単独で攻撃された場合、日本のために反撃することはない」と断言している(『ルトワックの日本改造論』(飛鳥新社))。

その日本では北朝鮮からのミサイル防衛を名目に計画されてきたイージス・アショアの建設が中止されることになった。

2020年・米朝核戦争』が投げかける課題はあまりに大きい。

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