最近はあまり使わないが、「畜生」という言葉もある。もともと仏教用語で「けだもの」のこと。かつては「悪事を働くと、畜生道に堕ちる」の言葉が、よく知られていた。
こうした宗教感情や古くからの慣習もあり、墓地規則が定められている。ペットの埋葬は一切禁止という霊園もあれば、エリアを区切って埋葬できる霊園もある。まだ少数だが、人間とペットが「共葬」できる霊園も徐々に増えてきた。
共葬できることを「知らない」人は78%
ペットの火葬や納骨の申し込みも、近年は増加している。
「ペットブーム」といわれるかなり前から、こうした事業を手がける業者もいる。メモリアルアートの大野屋だ。少し数字面から現状を紹介しよう。
2003年に「町田いずみ浄苑フォレストパーク」(東京都町田市)で提供を始め、「Withペット(ウィズペット)」という商品名(登録商標)で事業を展開する。これまでに首都圏や関西圏で10の霊園や寺院で取り扱い、完売したところもある。総区画1881のうち、1339を販売したという。
「ウィズペットは、お寺などの宗教法人が管理主体で、ここ数年、相談件数は年間200件台となっています。一方、今年1月に当社が行ったインターネット調査で、『ペットも一緒に埋葬できるお墓があるのを知っているか』と聞いたところ、『知っている=22%、知らない=78%』でした。まだまだ認知度が低いのが実情です」(大野屋の広報担当)
同じ調査で、ペットの死を経験した人に「遺骨の埋葬をどのようにしたか」も聞いた(回答数1496)。
その結果は、「自宅の庭など私有地に埋葬した」(37%)、「ペット用の霊園や納骨堂に埋葬した」(30%)、「遺骨を自宅に保管して、まだ埋葬していない」(14%)などの順だった。なお、「その他(自分や家族の霊園に一緒に埋葬したも含む)」(17%)、「海などに散骨した」(2%)もあった。
もともとペット愛が強い人たちだからか。7割の人が、きちんと対応していた。
なお、大野屋以外にもペット霊園を手がける業者は多い。興味がある人はネットなどで、評判を含めて調べていただきたい。
葬儀もオンライン化が始まっている
新型コロナウイルス感染拡大防止で、外出や移動が大きく制限された。徐々に自粛は緩和されているが、まだまだ予断を許さない。
そうした状況の中で、オンラインでのペット葬儀も注目されている。通常のペット葬儀や火葬は、どうしても「3密」(密閉・密室・密集)になるからだ。
オンラインペット葬儀は、お別れの儀式をスタッフが行い、飼い主や関係者は画面越しに見守り、スタッフと対話する。火葬や拾骨なども同じ流れとなっている。
まだ始まったばかりのサービスで、「ペットとの共葬」という例は少ないが、今後はこうした「脱・3密」が増えていくかもしれない。