800万ドルの支援に1年9カ月を要した

そして2018年の平昌冬季オリンピックを契機に、南北関係は10年ぶりに和解ムードに転じた。3回の南北首脳会談と2回の米朝首脳会談に続き、2019年6月には板門店で文在寅大統領、金正恩国務委員長、ドナルド・トランプ米国大統領という3者が会合する歴史的な出来事もあった。

ところが米国は、北朝鮮の非核化に相当な進展があるまでは制裁を緩める考えはないという点を明確にした。

それでも韓国政府は2019年12月6日、世界保健機関(WHO)を通じて北朝鮮に500万ドル(約5億3400万円)を人道目的という名目で支援することにした。同年6月に国際機関を通じて800万ドルの支援を行ってから半年もたたないうちに、再び北朝鮮の支援に乗り出した。

6月に行われた800万ドルの支援とは、前述した2017年9月に決定したものだ。文在寅政権発足直後に決定した支援は、北朝鮮が6回目の核実験を行った影響で、国内外の世論に配慮し執行が先送りされてきた。それから1年9カ月を経て、ようやく執行されたというわけだ。

このように、文在寅政権の北朝鮮への支援は小規模かつ小出しという感が否めない。この点に北朝鮮は腹を立てたのだろう。

最終的な目的は経済支援の獲得

韓国では今回の一連の北朝鮮の行動を、南北問題の解決に向けた積極的な努力を促すメッセージとする見解もある。

確かに、北朝鮮は米国や韓国との交渉に先立って強硬な態度に出ることが多い。今回の南北共同連絡事務所の爆破と、今後予想される軍事行動も最終的には経済支援の獲得を目標としたものと断言していいだろう。

文在寅政権の中途半端な融和政策を破壊し、南北関係をリセットし、ゼロから交渉を開始することで、交渉の過程で韓国側の譲歩を勝ち取り、経済支援を得る戦術なのだ。

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