ウイルスと人類のつきあい、4パターン

そんな微生物と哺乳動物たる人類との関わり方は、大きく次の4つに分類されるという。

ケース1:「宿主が微生物の攻撃で敗北して死滅する」
致死率の高いアフリカのラッサ熱や、エボラ出血熱がこのタイプだ。恐ろしい感染症だが、一方の微生物もほかの宿主に移らない限り、宿主と運命を共にして死滅するので、リスクは大きい。結果的に、局地的、短期的な感染にとどまることも多い。

ケース2:「宿主側の攻撃が功を奏して、微生物が敗北して絶滅する」
すでに根絶した天然痘のほか、ハンセン病やポリオ、黄熱などがこのタイプだ。ワクチンや治療薬が存在し、予防や治療が可能な感染症といえる。

ケース3:「宿主と微生物が和平関係を築く」
大腸菌や乳酸菌、酪酸菌など人にとって欠かせないパートナーとなった常在菌も多い。普段はおとなしいが、宿主の免疫が低下した場合などに牙をむく「日和見菌」も存在する。

ケース4:「宿主と微生物がそれぞれに防御を固めて、果てしない闘いを繰り返す」
代表的なのはヘルペスウイルスだ。幼少期には「水痘(水ぼうそう)」に、成長後は「口唇ヘルペス」や「性器ヘルペス」、「帯状疱疹」に苦しめられた人もいるだろう。症状が治まっても、ストレスや疲労、妊娠や免疫力低下などをきっかけに再び暴れだすのが特徴だ。

2022年まで断続的な外出規制を続けなくてはならない

さしずめ、今回の新型コロナウイルスは、当初ケース1が恐れられたが、そこまでの致死率ではなく、なんとか人類の滅亡は免れそうだというところだろう。

今後の理想は、ケース2「宿主側の攻撃が功を奏して、微生物が敗北して絶滅する」だ。完全なる根絶は難しいとしても、なんとか予防ワクチンや治療薬を開発するか、自然感染によって集団免疫が獲得されることが望ましい。

しかし、そのどちらも2~3年は要すると専門家からは試算されている。米ハーバード大学の公衆衛生大学院の研究チームによると、医療崩壊を起こさず徐々に集団免疫を獲得するためには、2022年まで断続的な外出規制を続けなくてはならないという。薬の開発と承認には一定の時間がかかるうえ、ウイルスは極めて短期間に遺伝子変異を繰り返す。ワクチンが出来上がる頃には、すでに十分に効かないタイプに変異している可能性もあるのだ。