超名門パブリックスクール日本上陸で世界のエリートへの道が拓かれる

インターのニーズが高まる中で、日本国内の学校数も増えている。

インターは、日本の学校教育法に定められた学校や株式会社による運営が混在していて、全校が文部科学省の管轄下にあるわけではない。そのため、正式なデータの集計はないが、インターナショナルスクールタイムズの概算では、2020年2月現在、保育・幼稚部(プリスクール)が481園に約4万人が、小・中・高等部62校には約5000人の生徒が通っている。ポイントは、ここ数年で新規開校が相次いでいること。子供の進路を考える時の選択肢として急浮上しているのだ。

2022年8月にはイギリスの超名門パブリックスクールであるハロウ校が岩手県安比高原に、翌23年にはラグビー校が東京に日本校を開校予定だ(ラグビー校は、北海道にも生徒たちが利用できるキャンパスを開く予定)。

パブリックスクールとは、イギリスの私立学校で上位10%にあたるエリート養成校のこと。中でも別格なのが「ザ・ナイン」呼ばれる学校で、ハロウ校、ラグビー校はその一角を成す。2校の日本上陸は、世界のリーダーへの道が拓かれることを意味し、大きなインパクトを与えそうだ。

超名門パブリックスクールが日本に開校する理由を、前出・村田編集長は次のように語る。

「両校とも日本はもちろんですが、中国、韓国、台湾、シンガポール、マレーシアなどアジア全域から生徒を集めることを考えて、日本校を開校しています。アジアの富裕層が進学を考えるとき、イギリスやアメリカのボーディングスクールよりも、距離的に近い日本のほうが行かせやすい。大学進学を考えた時も、たとえば中国からイギリスやアメリカの名門大学に出願するより、日本の学校から出願するほうが競争率は少なくて行かせやすくなるので、迂回ルートとしても重宝されると考えています」

ボーディングに入れるなら費用は年間600万円は覚悟

わが子を世界で「食べていける子」にするためにインターに入れたいが、入学するには高い英語力が求められる。

「教授言語が英語になるので、中学校からの入学となると、抽象的な概念を英語で理解できるレベルが求められます。さらに、理解するだけでなく、話したり、書いたりできるか。インターの授業ではディスカッションやディベート、レポート提出が多い。ついていけない子がいると授業の妨げになるので、4技能はシビアに精査されます」

ただし、学校によって求められる英語のレベルは変わるという。

「家から通学するインターの場合は、高い英語力が求められます。しかし、ボーディングスクールの場合は、日本人の中で『英語が得意』ぐらいの子も入学できるケースがあります。全寮制という強みを生かして、放課後に英語力を伸ばすためのESL(English as a Second Language)クラスを設けられるからです」

さきほど紹介したハロウ校やラグビー校はボーディングスクールなので、英語のハードルは少し下がるかもしれない。だが、今度は高い学費の壁が待っている。

「インターの学費は新設校で年間150万円、老舗校は年間250万円。ボーディングスクールは、授業料に加えて、寮費が300万円かかります。名門パブリックスクールだともっと高く、全部で年間600万~700万円くらいになります」