「少し大きめの中小企業」や「中堅企業」の倒産リスクが高い

一方、ホテル業界では、それまで過大投資を続けてきた会社の倒産が続いていますが、今後は、他の業界でも、資金繰りがつかず、倒産、あるいは、将来の見通しが立たないことから廃業も相次ぐものと考えられます。

ポイントとなるのは、零細企業は政府の支援で何とか息をつぎ、大企業は銀行などからの融資も受けやすい面がある半面、その狭間にいる、「少し大きめの中小企業」や「中堅企業」の中には資金繰りに厳しいところが多く出てくると考えられることです。

そのため、現状年間8000件程度の倒産件数が、1万件を超えることも懸念されています。また、中小零細企業の中では、倒産でなく、廃業が増えることが懸念されます。

そして、先ほども説明したように、営業利益の悪化は1~3月より緊急事態宣言の影響が出る4~6月はさらに悪化しているものと考えられます。

コロナウイルス第2波第3波襲来を前提にした経済活動の枠組みが必要

小売業界も大きな影響を受けています。「巣ごもり消費」などで一時期は良かったものの、全体での消費は落ち込んでいます。図表2を見ていただくと、百貨店の売り上げの落ち込みが大きいのが分かるでしょう。3月で前年比33.4%の減少です。4月以降は自粛がされに強化されているので、さらに悪化しているものと思われます。

また、旅行取扱件数も昨年からの日韓問題による韓国からの旅行客の減少に続き、年初あたりからのコロナウイルスによる中国からの訪日客の減少、さらに自粛による国内客の減少が続いています。表の旅行取扱状況の数字は2月までの分ですが、その後のほうの影響が大きいのは明らかです。また、小売業や旅行業はインバウンドに頼っていた面が大きいですが、ウイルスを考えれば、今後半年ほどはインバウンドの回復は見込みにくいでしょう。場合によってはそれ以降も影響が続く懸念があります。

自動車産業に目を向ければ、国内での4月の新車販売台数は27万台と、消費税増税の反動減だった昨年10月の31万5000台をも割り込む数字となっています。自動車メーカーや部品メーカーの業績も低調です。自動車産業はすそ野が広いですから、日本全体への影響も大きいものとなります。

ウイルスは、第2波、第3波がやってくると言われています。長期化にも備えなければなりません。そのためにも、ウイルス対策とある程度の折り合いをつけながらも、経済活動をある程度軌道に乗せることが必要なのです。ルール作りが必要です。

繰り返しますが、ワクチンが開発されるまでは、新型コロナウイルスは沈静化と拡大を繰り返す可能性があり、それを前提とした経済活動の枠組みが必要なのです。