コロナ騒動で再確認するパートナーとの幸せ

今回の新型コロナ禍はまったく想定していなかった緊急事態だが、それでも私が計画どおり、セミリタイアを実行しようと決意できているのは、妻の存在も大きい。というのも、こういった緊急事態を経験し、改めて「結婚って、案外いいものだな」と感じ入ったのである。

私は妻と2人暮らしだが、どちらもライターなので、もともとお互い在宅ワークだった。そのため、最近各所で取り沙汰されている「パートナーといつも一緒の空間にいるようになり、口論が絶えなくなった」「家庭内がギスギスしている」「コロナ離婚の危機」といった状況には陥っていない。

夫婦は子どもが巣立ったら2人きりの生活になるもの。子どものいない夫婦でも、お互いリタイアしたら2人だけで過ごす時間が増えるだろう。折からのコロナ在宅は、その予行演習だったのだ。これで家庭内が冷え切ってしまったり、離婚したりするのであれば、そこまでの関係だったということ。今回の騒動で、家庭内に潜んでいた課題や問題点があぶり出されたと前向きに捉えて、パートナーとの関係をいま一度、見直してみることをおすすめしたい。

家に2人きりで籠もる生活で得た“確信”

一方、パートナーがいない人は、外出もせず、家に1人きりで過ごすなかで、もしかしたら「危機的状況のとき、一緒にいてくれる人」の重要性を強く意識するようになったかもしれない。もしあなたが「パートナーと常に一緒なんて面倒くさそう」「いちおう相手はいるけど、他にもっといい人がいるかも……」などとこれまで考えてきたのであれば、この機会にさっさといい人を見つけたり、パートナーと暮らし始めたりしてもよいのではなかろうか。

私は新型コロナ禍が発生するまで、月に20回は外で飲み歩くような生活をしていたが、いまではそれが一切なくなった。確かに淋しく感じることはあるし、1日でも早く従来どおりの暮らしが戻ることを望んでいるが、夫婦2人だけで自宅に籠る生活も、思いのほか心地よく過ごせている。毎日、仕事が一段落したらキッチンでつまみをつくりつつ2人で酒を飲み、その流れでのんびりと夕食に突入する暮らしはなかなか楽しいものだ。

「大半の仕事を手じまいする」という覚悟ができたのは、「夫婦2人だけで生きても、なんとかなる」と確信できたからかもしれない。