本業を生かし、本業を越えて、広がる支援の輪

行動を起こしたのは次の人たちだ。

まずは自動車会社各社である。トヨタグループのデンソー、トヨタ紡織はマスクを生産し、市場から購入しないでいいように自給自足体制に入った。また、トヨタ本体はフェイスシールドを作ることにした。トヨタ、ホンダは患者搬送の車両を提供し、感染しないような改造もしている。ユニクロは日本だけでなく、医療機関に1000万枚のマスクを寄付した。

写真提供=トヨタ自動

消毒薬の支援もある。資生堂、サントリーは消毒薬、消毒用アルコールを医療機関向けに生産。富山県の若鶴酒造は消毒薬と同程度のアルコール度数の製品を生産し、医療機関などに優先供給。また、売り上げの一部を新型コロナウイルスの感染拡大防止にむけた取り組みに寄付する。

他に、中古車売買のガリバーは医療従事者をはじめ、外出自粛中でも移動を必要とする人たち1万人を対象に自動車を無償提供。ジャニーズ事務所はマスク50万枚、医療用ガウン3万3000枚を寄付。

企業・団体、個人による支援の対象は、医療現場に留まらない。

ユニバーサルミュージックはコロナで仕事ができない音楽業界の関係者への支援を決定し、社会不安を和らげるためにアーティストに活動してもらうことにした。俳優でタレントの坂上忍は「ボク、タダ働きをすることに決めました」として、「緊急事態宣言が発令されてから解除されるまでの間、収入をなにかしらの形で寄付をすることに決めた」とブログに書いた。

以上のほか、多岐にわたる支援の一部を表にまとめた(※図表1は2020年4月27日時点)。

作れるものは何でも作る

自動車業界の団体、日本自動車工業会会長で、トヨタの社長、豊田章男は緊急事態宣言のかなり前から、何かできることはないかと模索していた。彼は記者会見で「モノ作りで貢献する」と語っている。

「終戦時の話ですが、戦争で人も減り、工場も失ったトヨタは、それでも、なんとか生き延びていくために、作れるものは、なんでも作ったそうです。鍋やフライパンを作り、さらには、工場周辺の荒地を開墾して芋や麦まで作っていました。

スバルでも、農機具や乳母車、ミシン、バリカン等、あらゆる生活品を作っていたとも聞きました。とにかく今はやるべきこと、自分にできることは何でもやっていく」