営業のメールは戦略的に
内容はたいしたものではない。「何か食材のことでお困りのことはありませんか?」というお伺い内容だった。
はっきりいって、こんな寒い内容の文面を送りつけられても、95%ゴミ箱行きである。ましてや今は新型コロナ騒動の渦中だ。確率は100%だろう。
本題は別にさりげなく仕込んでいた。
件名に「【消毒作業うけたまわります】」と謳い、メールの最後のテンプレ「○○株式会社 営業開発部 連絡先」の前に「【消毒除菌作業承ります。新型コロナ対応。即日対応。当日完了】」という一文を入れたのだ。
そう、サイレントDMである。ゴリゴリのセールスDMを送ってもよかったが、あえてその手は回避した。
理由は二つ、消毒作業という売り物の性質上、送った相手が「ウチの店が汚いってことかよ」という拒否反応を起こるのを恐れたから、そして時間や人員がかぎられているので相手からこちらへという流れを作りたかったからだ。
本業の売上が減る傍ら、除菌消毒は圧倒的な受注を獲得
これがきっかけで問い合わせのメールが爆裂した。
4月になって本業の売上は地獄のようなダウンを記録しているが、除菌消毒作業の圧倒的な受注で生き残れる見込みは出てきている。
消毒作業は通常の飲食店や事業所で半日から1日で完了してしまうが、副次的な効果で、消毒後のコンサル契約や食材販売の交渉にも結び付けられている。コロナ禍が終わったあとの貢献につながるはずだ(これが目的でもあった)。
こうして弊社の消毒を売る作戦は成功した。
5月末まで予約でいっぱいの状況である。もともと小規模な部隊なので受注量に限りがあること、そして作業につかう資材(防護服や製剤)の使用量と在庫量のかねあいからいつかは活動限界点を迎えること、など課題はあるが大事なのはコロナ禍を生き残るめどが立ったということだ。