【スティーブ】あるね。例えばモーニングコール。正しくはwake up call(ウェイクアップコール)かな。ドンマイも。ドントマインドの略なのだろうけど、日本でのドンマイの使い方を考えると、ちょっと固い。直訳すると「構いません」だから「no worries(気にしないで)」のがカジュアルだね。
【カナコ】ほかにも、アレルギー(※)とか。英語の発音だとアラジー(allergy)ね。花粉症の友達がアメリカ人に「アレルギーなんだ」って伝えようとしてたけど、相手はキョトンとしてたな。ほかにもマンション(英語だと大きな一軒家という意味)とか。僕は四谷のマンションに住んでますとか言うと、一体どんな豪邸に住んでいるのかなぁなんて英語圏の人に勘違いされちゃうね。
※アレルギーはドイツ語由来の発音。
【ライアン】ただ、そういうのって、なんかかわいいじゃん。日本にいるんだから日本流の言い方にもある程度は慣れなくてはいけないと僕は思っている。それより、僕が気になるのは、英語の言葉に詰まったとき、すぐ「えー」とか言うことかな。
【カナコ】たしかに、「えー」は極めて日本語的な間の取り方だよね。英語だったらアム……(ummm)だね。
【ライアン】そう。なんか変だなぁって思ってしまう。でもそれだけじゃなくて、すごい時間かけて何を言うか考えているわりにはあまり大したことをそのあとに言わないというか……。もっと早く言いたいこと言ってよ!って感じ。難しい言葉なんて使わなくていいから、簡単な単語をつなぎ合わせればいいのに。考えるだけ考えてやっぱりネバーマインド!(never mind=なんでもない)って会話をやめられるのも、なんだか気持ち悪いよ。
【スティーブ】日本人のスピーキングはなぜあそこまで下手なのか、とはたまに不思議に思う。商社でも帰国子女とか留学経験者を除くと、英語でしゃべることを避けようとしている人が多いと感じる。でもそういう人でも英文メールは文法的にしっかりしている。
【ライアン】そうだね。少しでも海外経験があると、そういう不思議な間をおかなくなるかな。会話のテンポを理解しているというか……。
変な英語は本当に気にならないか
【カナコ】とはいえ、帰国子女もいろいろいるでしょ。ちょっと数カ月カナダにワーキングホリデーに行っただけなのに急に英語でSNSに投稿しだすと「何があった!?」ってなる。帰国子女って海外にいた年数が少ない人ほど、やたらと“帰国子女ぶる”のよね。「Japaneseの男は本当にChildish(子どもっぽい)」「そんなの世界で通用しないよ!」とか突然言い出しちゃって。あと、やたらとカタカナを“よさげ”な発音で喋り始める。そういうやつほど大して発音よくないし、イライラする。私みたいに海外歴長いと、逆に日本に溶け込もうと必死なのよ。