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できる上司は部下との飲みニケーションを重視している!

部下のモチベーション低下の原因を探るために、飲みニケーションで業務時間外の付き合いを増やすのも一案です。しかし昨今は、公私の切り替えが当たり前になり、「会社帰りに部下を飲みに誘っても、なかなかついてこない時代になった」と愚痴る人も少なくありません。そんな人の解決策は、部下の立場に立って「なぜ誘いを断るのか」「なぜ自分についてこないのか」と、自らを省みる以外ありません。すると、自分の話ばかりをしていて、飲んでも楽しくない、あるいはタメにならないと思われていることに気づくのではないでしょうか。

私は課長時代、春と秋に2時間ずつ部下の面談をしていました。そのときの鉄則が「『八』聞いて、『二』しゃべる」です。2時間のうち1時間は、家族は元気なのか、独身なら恋人はいるのかといったプライベートの話、残り1時間は仕事の話を聞くのです。プライベートに踏み込むと、やれ個人情報だのセクハラだのと騒がれる時代ですが、「部下に困ったことがあればいつでも力になろう」という気持ちを持ち、なおかつ「自分に何を話そうとも決して情報は漏れない」という信用を得られれば、包み隠さず何でも話してくれるようになるはずです。これを年2回続けていれば、日ごろはスピーディに仕事をこなし、6時に退社していても、部下との信頼関係が揺らぐことはありません。

反対に、やってはいけないのが、成果に応じて極端に給与で差をつけることです。日本人は欧米人と違って、給与のために仕事を頑張るという人は多くない。たとえば、前シアトル・マリナーズの城島健司選手を見ても、報酬を最優先に考えるならアメリカにいたほうがいいはずです。しかし、残り2年の契約を破棄してまで日本に戻ったのは、自分の活躍できる場を求めていたからにほかなりません。

「仕事の成果は仕事で報いる」というのが私の考え方です。自己実現欲求が満たされるスケールの大きな仕事を与えられたほうが、多くの報酬を得ることよりもはるかにやりがいがあると思うのです。

※すべて雑誌掲載当時

(千葉優子=構成 的野弘路=撮影)