「いい人」になってしまう理由、3つ目はリスクヘッジのためです。わかりやすく言えば、会社をクビにならないためですね。特に外資系では突然クビになることもありえます。まあ、そこまで極端でなくても、評価が下がるのが嫌だ、仲間から分離するのが嫌だという不安があると思います。それを恐れるあまり、嫌な一言にも耐えなければならない。協調性を守り抜くための、日本人特有の国民性ともいるかもしれません。

さて、多くの人は、この3つの理由のどれかに当てはまるのではないでしょうか。人から悪く思われたい人はいませんし、誰しも自分の立場を守りたいものです。

半沢直樹のように倍返しだ!

「いい人」を脱却するために、ちゃぶ台をひっくり返す勇気を持つことはとても大事です。先ほど申し上げた通り、僕は20代のころ4年間「いい人」でいた経験があります。その会社の環境はひどいもので、「口答えしたらすぐ辞めさせる」という雰囲気が蔓延していました。「大卒なのに使いものにならない」と入社早々言われるなど、人の悪口ばかり言うネガティブな人間だらけ。私は感情を殺して「いい人」と化していました。命の無駄遣いをしていたなと思いますね。あの期間は、修行という意味で「服役」と呼んでいますが(笑)。

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その会社で特にパワハラをしてきた嫌な上司がいました。仕事の改善を促すような注意はせず、人間性をコケにするような言動をする人です。

僕が会社を辞める日も、いつものように廊下で挑発をしてきました。僕がわざと言い返すと胸ぐらをつかんできたので、最後だからと思い、200人ほど社員がいるフロアに奴を引きずり出しました。そして「やれるもんなら、ここで殴ってみろ!」と大声で怒鳴りつけたんです。みんなが見てる前で。上司はどうしたか。「おまえがここでボコボコにされたらかわいそうだから、やんねえよ」と言って逃げました。そうしたら他の社員の人たちが花束を持って花道で送り出してくれました。大人げない行動だと今では思いますが、23歳の私にとっては、それが精いっぱいの、苦肉の策でした。

そんなふうに、「いい人」を脱却するために、勇気を持って、ちゃぶ台をひっくり返してもいいんですよ。もちろん、話し合いを冷静に粘り強く重ねて、改善できなかった場合の最終手段ですが。やるなら思いっきり大胆にやったほうがいいでしょう。中途半端はダメ。思いきりやることが重要です。