思いきりやれば、もちろん社会的制裁というリスクも付きまといますが、「自分に対して勝ち癖がつく」というメリットもあります。少なくとも「負け癖」はつきません。日本人は『忠臣蔵』のような正義に則った倍返しが大好きですよね。スカッとします。

同じように、ずっと「いい人」でストレスを抱えている人は、負け癖を治すためにもやってみてください。自信がついて、人生のいろいろな場面で「前にできたから今回もできる!」と思えるようになります。そうすると心に余裕ができます。多少パワハラを受けても「いつでもやり返せる」と余裕ができ、心が追い込まれずに済むんです。

ちゃぶ台をひっくり返すというのは、会社を辞める、意見を言う、強い態度に出るなど、という意味。こういったことをやればいいだけの話です。本当の自分が見えてきて、がんじがらめになっていた小さな自分がバッと大きくなります。

さらに人間関係が、いい意味で整理されるというメリットもあります。会社でもプライベートでも、至るところで本当の自分を出していくことによって、自分に合った人とだけ出会い続けることができるのです。

倍返しと言えば、ドラマ『半沢直樹』。あれが流行ったのも、主人公の半沢が思いきりちゃぶ台返しをしたからだと思うのですが『半沢直樹』を見ていて感動した人はみんな「いい人」だと思うんです。あれを見て、自分の人生に「倍返し」したいと思った人が多いことが大ブームの背景にあります。

サードプレースのつくり方

「いい人」を脱却するための処方箋。まずは家でも会社でもない3番目の居場所「サードプレース」をつくるのがおすすめです。自分が心から楽しめる趣味を見つけると、人生が充実します。

会社の仕事はほどほどに、趣味を全力で楽しんでいる人のいい例が『釣りバカ日誌』のハマちゃんです。釣りに命を懸けるハマちゃんが、ひょんなことから出会った初老男性・スーさんに釣りを教えるという筋書きですが、実はスーさんは、ハマちゃんの勤める建設会社の社長さん。ハマちゃんは、釣り初心者のスーさんに「おいおい、じいさん、釣り糸の結び方、そうじゃねえだろ」などと上から物を言っているのが面白い。

サードプレースでは会社のヒエラルキーが崩壊するし、好きなことでイニシアチブをとれれば、自分がその世界のカリスマになれます。会社が自分に合わなければ、ハマちゃんのような、圧倒的に趣味に生きる会社員ライフのほうが確実に幸せな人生を選べます。

とはいえ、すべての人がハマちゃんのように熱い趣味を持っているとは限りませんよね。