何でこんなことになったかといえば、大学で教えるようになってから、外国に出かけていって英語で講演したり、外国の研究者と合同で行う研究会や会議で、発言したり司会役を務めたりする機会が増えたからです。

私は、英語で講義を聴いたり、英語で本や論文を読んだりすることについては、あまり問題は感じていませんでした。このような能力は、学校教育で身につけていたからです。

しかし、「大勢の前で話す」という能力は、十分でないと思っていました。そこで、独学で英語の話し方の勉強をしたのです。

外国語の独学は、教材の制約がほとんどなくなった

野口 悠紀雄『「超」独学法』(角川新書)

ただし、その時には、「スポークン・イングリッシュ」(話されている英語)の教材を手に入れることは、容易ではありませんでした。FEN(極東アメリカ軍ラジオ放送)のニュースやニュース解説をテープに録音し、それを繰り返し聞くことで、この訓練を行ったのです。

この頃に比べると、英語(あるいは、外国語一般)を独学するための道具は、考えられないほど豊富になっています。

ネットにいくらでも無料の音源がありますし、印刷された本をスマートフォンで図形認識して、それを音読してくれるアプリも登場しています。それらの中から、自分の専門分野のもの、あるいは興味あるものを選ぶことができます。

したがって外国語を独学で勉強することについて、教材の制約は、ほとんどなくなりました。このような教材を活用すれば、英語(あるいは他の外国語)の独学を、極めて効率的に、しかも楽しみながら、進めていくことができます。

独学は、学校に通って勉強するよりはるかに効率的

英語の教材以外にも、さまざまな教材がウエブにあります。しかも、それらの多くは、無料で利用することができます。

さまざまな意味で、学校に通って勉強するよりはるかに効率的に、独学で学ぶことができるようになっているのです。

「学校に行けなくなった」「自宅で勉強するしか方法がなくなった」といういまの時期を活用して、独学の素晴らしさにぜひ目を開いていただきたいと思います。

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