せっかく意気込んで勉強を始めたものの、数カ月したらやめてしまった、ということが頻繁に起こります。では、どうしたら、独学を継続することができるでしょうか?
第二の問題は、カリキュラムの作成です。学校教育の場合には、先生がカリキュラムを作成してくれます。学生はそれに従って受動的に学ぶだけです。先に述べたように、学校教育の場合には学ぶべき内容がほぼ決まっているために、こうなるのです。
ところが、社会人になってから独学で勉強を進めようとする場合には、何をどのような順序で学んでいくかというカリキュラムは、学習者が自ら作らなければなりません。これは決して簡単なことではありません。
第三は、学習のための教材です。これも学校教育の場合には先生や学校が準備してくれますが、独学の場合には、自分で探してくる必要があります。
以上のように、独学については、ただやみくもに進めればよいというのではなく、ガイドが必要です。私は、2018年に刊行した『「超」独学法』(角川新書)という本で、独学を進めていく場合の注意点を述べました。
「私は独学の専門家」と言う理由
『「超」独学法』に書いたのは、私自身の経験に基づく方法論です。
私は、大学では工学部の教育を受けたのですが、4年生の時に、もっと視野の広い仕事がしたいと思い、経済学の勉強を始めました。経済学部に転部する方法もありましたが、その余裕はなかったので、独学で経済学を勉強し、公務員試験の経済職を受けたのです。
この時の勉強は、社会人学校に通って行ったわけではありません。全くの独学で行いました。この時に私が行った方法は、かなり特殊なものだったと思います。それについても、『「超」独学法』で詳しく説明しました。
その後、私はアメリカの大学院に留学して経済学の正規の教育を受けたのですが、日本に帰国後、大学で経済学を教えることになりました。この時も、留学中に勉強したことをそのまま教えたわけではありません。むしろ、「自分で勉強を進めながら教えた」という面が強いのです。この場合の勉強は、もちろん独学です。
このように、私の場合には、仕事に必要な知識の多くは、学校教育ではなく、独学で身につけたものです。したがって、私は「独学の専門家だ」と自負しています。このような経験から、独学こそがもっとも効率的な勉強の方法だと、私は信じています。
独学のための環境や条件は、大きく改善した
私が独学をした時に比べて、独学のための環境や条件は、いまやはるかによくなっています。例えば、英語の勉強です。私は、英語の勉強も独学でしました。いつしたかといえば、アメリカ留学から帰ってきて後にしたのです。
留学の前でなく後だというのは不思議なことだと思われるかもしれません。