敬老精神などこの国にはない

何しろ、麻生太郎財務相は4年前、北海道での講演で、「90歳になって老後が心配とか、わけのわかんないこと言っている人がこないだテレビに出てた。『オイ、いつまで生きてるつもりだよ』と思いながら見てました」といい放ったことがある。これは1700兆円という個人資産の6割以上を保有する高齢者に消費を促したいという文脈での発言だった。

麻生は自著の中でも、年寄りたちが貯めているカネを吐き出させる工夫をしなくてはいけないと述べている。「オレは年寄りだが、カネは唸るほどあるから、老後なんか心配していない」という本音を隠せない度し難い人間である。

こんな連中が政治をやっているのだから、敬老精神など、この国のどこを探しても見つかりはしない。年寄りは貯めこんでいるカネを吐き出して、さっさといなくなってほしいというのが、奴らの本音である。

だが、高齢者たちから、「命は平等だ」「治療を受ける権利を我らに」という叫びは聞こえてこない。声を出せず家に籠って、迫りくる恐怖と闘っているのである。彼らの気持ちを代弁して、齢74の私が声を大にしていうしかないのだ。

閣僚、役人たちが率先して覚悟を見せるべきだ

週刊新潮(4/2号)で作家の楡周平が珍しくこの問題について書いている。

新型インフルの発生に備え、国は「プレパンデミックワクチン」を備蓄している。だが、その量は1000万人分しかない。

そこで「新型インフルエンザ等対策特別措置法」で、「住民接種」を行う順位を、「妊婦を含む医学的ハイリスク者」「小児」「成人・若年者」、その次に「高齢者」として、この国の将来を守ることに重点を置き、高齢者を最後にするとしてあるという。

今回のコロナウイルスの場合も同じことだが、そのことをどれだけの高齢者が知り、受け入れる「覚悟」ができているのかと、楡は問いかけている。

正直にいおう。私にそんな覚悟はない。それをいうなら、感染爆発を前にして、今頃になって、各家庭にマスクを2枚ずつ配ろうなどといい出した、安倍を含めたアホな閣僚、役人たちが、率先して覚悟を見せるべきである。

WHOもマスクで感染は防げないといっているのに、何百億円も浪費して無駄なものを送りつける輩たちに、国民の命を守ろうという気概などあるはずはないが、それを示してから、我々高齢者に、覚悟を問うべきである。それでも私は拒否するが。