子どもを扶養家族にできるかのラインは…

扶養控除の要件の1つに次の条件がある。

年間の合計所得金額が38万円以下(20年分以降は48万円以下)であること(収入が給与のみの場合は給与収入が103万円以下)。

アルバイトの給与額面総額から給与所得控除を差し引いた額(給与所得)で38万円を超えていないことが要件となっている。ということは、103万円以上アルバイトで稼いでしまうと、親の所得税・住民税を計算する上で、扶養家族にすることができなくなってしまう計算になる。具体的には、どのくらいのインパクトになるのか試算してみよう。

扶養控除は、配偶者以外の親族を扶養している場合に適用されるので、通常は、父親か母親のうち所得の多い方で適用されることが多い。ここでは、性別は扶養控除額に関係しないので、「親」としておこう。

親が給与所得者で年収が500万円とする。扶養控除以外の所得控除(社会保険料控除や基礎控除)を100万円(住民税は基礎控除が違うので95万円)とすれば、大学生を扶養控除にすればさらに63万円の扶養控除が取れる。

年収500万円の親なら約10万円も税金が増える

「扶養控除で控除される額は、確か38万円ではなかった?」という疑問の声があるかもしれない。12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の扶養親族は、特定扶養親族といって、特別に増額された扶養控除が認められている(住民税では45万円)。

<上記の前提条件での計算>

子どものバイトが103万円以下で、親の年収が500万円だとすると、所得税91,500円と住民税206,000円で計297,500円の税金を支払う。しかし子どものバイトが103万円を超すと、所得税148,500円と住民税251,000円で税額は計399,500円になってします。つまり、扶養控除が取れないことによる差額は399,500-297,500=102,000円となる。

繰り返すが、子どものアルバイトの金額が103万円を超えた途端、突如102,000円税金も増えるのだ。ちなみに所得税は累進課税なので、所得金額が多くなればなるほど高い税率が適用される。上では親の年収が500万円の場合(所得税率20%)で試算したが、仮に親の年収4000万円を超えると住民税と合わせて最大55%の税率が適用されるため、325,500円もの税金を親が余分に負担することになる。