空港や駅、病院、大学などにも設置を想定

買い物中に一休みしたいとき、カフェでは物足りない時がある。家のソファのようにダラダラとくつろぎたければ、ネットカフェを利用する手もあるが、「わざわざ感」があって面倒。そんなとき、手頃な値段でこうした空間が利用できるなら有難い。食事や着替えなど、用途は幅広い。

テーブルの上に休憩ボックスを運営する会社のパンフレットが置かれていたので、読んでみた。

ボックスはショッピングモールのほか、空港や駅、病院、大学などに設置することを想定しているという。設置希望者を4万元(64万円)で募集していたが、広告収入もあるため、最短3カ月で元が取れるとうたっていた。

30分ほどゴロ寝をして、スマホで料金を支払い外に出た。昼寝スペースとしては、かなりいいかもしれない。

窓があると「覗かれているかも」と落ち着かないので、足元だけ見えるようにするなど改善の余地はありそうだが、日本にもあれば、ぜひとも利用したい。

すでに日本でもターミナル駅などで昼寝ができるスペースが設置されているので、受け入れられる余地はありそうだ。もっとも、監視カメラで常に見られているというのは、慣れが必要かもしれないが。

なんと無料、ユニセフも視察した「授乳用個室」

前述の「個室休憩ボックス」によく似たサービスを、杭州東駅の構内で発見した。授乳用個室、その名も「移動母嬰室イードンムーインシー mamain」。

『ルポ デジタルチャイナ体験記』より

ウィーチャットでQRコードを読み取るだけで解錠でき、すぐに使用できる。料金は、なんと無料だ。

室内にはテレビモニターが設置されており、子育て関連の広告を流している。この広告費のおかげで、無料でサービスを提供できるわけだ。

2019年2月にはユニセフ(国際連合児童基金)も視察に来たというから、かなり先進的なサービスなのだろう。と思いきや、日本でも同様のサービス「mamaro(ママロ)」が2017年7月に運営を開始している。

中国の授乳室は同年10月に始まったので、日本のほうが先だった。とはいえ、設置台数は日本の約140台に対し、中国は倍の約300台。

駅や公共施設におけるベビールーム不足は日本同様、中国でも課題となっている。子育て世代からの支持を受けて、急速に普及しているようだ。

1時間320円、個室でコミットする「ランニングボックス」

上海市内に怪しげなボックスがあるという情報を聞きつけた。

現場を訪れると、オフィス兼マンションの敷地内に、突然2メートル×3メートルほどの四角い箱が出現。ガラス製のドア越しになかを覗くと、3畳足らずの殺風景な空間にランニングマシン、テレビ、エアコンが設置されていた。

こちらも個室ボックスの応用版で、個室ランニングボックスの「覓跑ミイパオ」だ。「何でも個室ボックスにすれば、ビジネスになる!」という中国人の商魂を感じる。