「読み書き」よりも「聴いて話す」を優先すべき

なぜ大人になって英語を学び直すのか、その目的をもう一度確認してみましょう。それは、単に試験でいい点数を取るためではなく、外国人と話してみたい、海外旅行を楽しみたい、世界を舞台にして仕事をしてみたいというものではありませんでしたか。

瀧靖之『脳が忘れない 英語の「超」勉強法』(青春出版社)

つまり、英語をツールとして、さまざまな人とコミュニケーションをしたいということだったはずです。そのために磨くべき能力は、いかに相手の英語を間違いなく聴いて、いかに自分の思っていることを正確に伝えるかという実践的なコミュニケーション力です。

ところが、中学英語をやり直すためにおこなうことは、机に向かって本を読み、文法や単語を一生懸命に覚えることが大半だと思います。いわゆる座学です。それでは、コミュニケーション能力はなかなか向上しません。

もちろん、私は中学英語をすべて否定しているわけではありません。相手と正確にコミュニケーションをとるには、ある程度の文法の知識と単語力が必要です。そうした力が欠けていると感じている人は、一定の時間をとって文法や単語の勉強をすることも必要でしょう。

ただ、あまりそれらにとらわれていると、大切な時間がどんどんとたってしまいます。文法の知識を完璧にしないといけないなどと思っていると、いつまでたっても次に進めません。コミュニケーションにとって、それよりも大切なのは、聴く力(リスニング)と話す力(スピーキング)です。ですから、読み書きをしている時間があったら、聴いて話す練習をしてほしいのです。

文法や単語というのは、座学ではピンとこなくて覚えられなくても、リスニングやスピーキングといった実践をしているうちに身につくことがよくあるものです。

このうちでも、まず力を入れたいのはリスニングです。相手の言うことが理解できなければ、それに対して自分の意見を述べることができないからです。

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