話を聞いていないように見えるが…

ただ、このコミュニケーションスタイルは、日本人にとっては慣れるまでが結構大変だ。日本だと口数は少なくとも、相槌あいづちを打つことで「聞いているよ」と表現しているが、フィンランドはその相槌すらとても少ないか、ほとんどないのだ。「本当に聞いているの?」と疑問に思うこともある。でも、フィンランド人からすると、きちんと目を見ているし、「あなたの話を聞いていて、自分の話す番が来ることを待っているだけなのに」と思っているそうだ。

写真=Jarmo Mela/Finland Promotion Board

ただ、自分が話し終わったとしても相手が何か言うとも限らないのがフィンランド人だ。彼らは沈黙を好む人たちでもあるからだ。日本人もどちらかというと沈黙を好み、あまり多くを語らない。そのせいか、フィンランド人は「ビジネス交渉や、プレゼンでも、日本人が相手だととてもやりやすいよ。ずっと話していなくてもいいし、日本の人たちも静かに最後まで聞いてくれるから」と言う人が多い。

褒められて顔を曇らせたフィンランドの友人

堀内都喜子『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ新書)

日本でプレゼン後に質問がなかなか出てこない時も「フィンランドと同じだね。質問がないということは、良かったってことかな」などと言って、満足している。

また、フィンランド人は褒められることも、自慢することも少し苦手だ。ビジネスにおいても、いいものがあるのにアピールするのが今までは下手だとあちこちで言われていた。最近は時代が変わり、アピール上手になってきたような感じはするが、相変わらず強く褒められると居心地が悪くなるようだ。

以前、本を出版したフィンランドの友人が、北米の人たちに「素晴らしい!」と絶賛されていたのだが、どんどん友人の表情は曇っていき、うつむいてしまった。後になってその理由を聞くと「こんなに褒められたら気持ち悪い。どうしていいかわからない」と言っていて、思わず笑ってしまった。

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