ストレスを最小限にとどめて少しずつ進める

当然一般人に最後の水抜きは禁物。ストレスを最小限にとどめて少しずつ進めるのが、ダイエットを成功させるコツだという。

「とにかくカードは1枚ずつ切る。例えば体脂肪を落とすと、最初は効果がてきめんに表れますが、だんだん体が慣れてくると止まってしまう。そうしたら次のカードを切ればいいんです。いっぺんにいろんなカードを切り一気にガクンと落とすと、逆にヤケ食いを誘発しリバウンドに繋がりますからね」

一般人へ推奨するカードは次の3枚。くれぐれも1枚ずつクリアしていくのが肝要だ。

「筋トレすらしたくない人は、まず食物繊維の摂取量を増やす。ここは柔道選手も一緒。便通がスムーズになり、腸の状態が良好になる。これだけで痩せる人も結構います。ただし野菜を大量に食べるのは難しいし、野菜で摂取できる食物繊維の量にも限界がある。そこでお勧めなのが大麦。高密度の食物繊維が入っています。こうして穀物からしっかり食物繊維を摂るだけで、だいぶ変わってきます」

2枚目のカードは、脂質を減らし、代わりにタンパク質を増やしていくことだ。

「もしイタリアン、フレンチなどドロドロしたドレッシングを使っていたなら、ノンオイルの青じそなどに替える。あるいはフライにしていた魚を焼く。それだけでもだいぶ脂質をカットできます。アスリートのタンパク質摂取量は体重1キロあたり2グラムが目安。70キロの人なら140グラムの摂取が要る。でも一般人はその半分でいい。腹が減ったらタンパク質。これなら同じカロリーを摂取していても痩せます」

そして3枚目のカードは、単純によく噛むことである。

「25回以上噛むグループと、それ以下のグループを比較し、前者のほうが、代謝が上がったというデータがあります。概して丁寧に噛む人は太らない。だから逆に噛まざるをえない食材を選べばいい。鶏の胸肉、スーパー大麦、ブロッコリーなどを摂り、噛むことを習慣づけていくことが大切です」

最後に岡田は、簡単で効率的な運動も紹介してくれた。

「柔道家が足腰を鍛えるのに最も効果的なのが階段ダッシュです。一般の方も、エレベーターやエスカレーターをやめて階段を上るだけで物凄く足腰が強くなるはずです」

アスリートの辿る道をなぞるだけで、元気に五輪を楽しめそうである。

岡田 隆
日本体育大学体育学部准教授
日本オリンピック委員会強化スタッフ(柔道)、柔道全日本男子チーム体力強化部門長を務め、リオ五輪では、7階級制となってから初となる柔道男子全階級メダル制覇に貢献。
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