また、昨年5位に甘んじていた早稲田が昨年比15人増の130人で4位に順位を上げた。その一方で慶應は同8人減の165人となり、1つ順位を下げて3位に転落。さらに京都大学の場合、同35人も減らして100人となり、なんとか3ケタ台の合格者をキープしたものの、昨年の4位から5位へ一歩後退する形となっている。
昨年、合格率がトップの64.5%になって一躍脚光を浴びた千葉だが、今年は49.3%にとどまった。とはいえ、5割に近い合格率は大健闘といえよう。ちなみに今年の合格率トップは一橋の61.4%だ。また、合格者全体に占める既修者の割合は64.4%に達し、未修者より既修者のほうが有利である状況に変化は見られない。
なお、合格者が10人未満の法科大学院が全体の半数に近い34校もある。うち3校は合格者が1人もいない。年を追うごとに合格者上位校との実力差は開きつつあり、定員割れを起こしているところも少なくない。今後、法科大学院の再編・淘汰に向けた水面下での動きが活発になることは必至であろう。
慶應が会計士で33年連続トップ
今年度から四半期報告書の提出や内部監査制度がスタートし、公認会計士に対するニーズは高まる一方だ。それらに対応するため、2006年から公認会計士試験の仕組みが変更され、最終合格者数も増える傾向にある。実際、06年の3108人に対して、07年は約3割増の4041人になった。合格率は19.3%に達し、「5、6%の狭き門だった我々の時代とは様変わりした」とベテラン会計士は感慨深げに語る。
こうしたなか、出身大学別のランキングで411人の合格者を出し断トツの1位にいるのが慶應だ。実はこの慶應、1975年に中央からトップを奪い返してから33年間連続して、その座をキープしているのだ。慶應OBでつくっている公認会計士・三田会の青木雄二会長は「実学の精神を重んじ、本来、公務員試験や資格試験にはあまり関心がないはず。不思議で仕方がない」と率直に語る。
とはいえ、それだけの強みを持っているのには何か秘密があるはず。何人かのOB会計士に疑問をぶつけてみると、「付属の高校からの内部進学者の割合が他大学よりも多く、“受験疲れ”していないことが影響している」という答えが返ってきた。「会計士として活躍する先輩の姿を見たりするうちに、人生のなかで一度くらい難関試験に挑戦するのもいいかなと考える学生が多い」というのだ。
とりたてて大学のなかに資格試験対策の講座があったり、三田会のOBが直接指導するような場が設けられているわけではない。40代前半の中堅会計士は「自分の時代から、2回生まではテニスラケット片手に、そして3回生からはTAC(資格試験学校)のテキストを片手にキャンパスを歩くのが習わしになっていた」と振り返る。長きにわたる伝統の上に築かれた牙城だけに、慶應からトップの座を奪うのは難しそうだ。