出会いアプリで残り続ける顔写真

また、アプリを通じて見知らぬ異性と出会うサービス、いわゆるマッチングアプリも注意が必要である。

現状、マッチングアプリでは顔写真を登録せずに活動した場合、出会いのチャンスが極端に減る。そのため顔写真を掲載しないユーザーは少数となっており、事実上は顔写真の登録が必須となっている。

スマホの普及により、現代のインターネットにおける男女の出会いは一般的なものとなった。各社は安全と安心を謳っており、以前の出会い系に持たれていたアンダーグラウンドな印象は薄れている。

12年にリリースされたOmiai、Pairsといったマッチングアプリは、男女が相手に興味を持った際に「いいね!」ボタンを双方が押すことでマッチングが成立し、お互いにメッセージを送れるようになるシステムを採用しているほか、登録には実在する人物が実名で利用することがベースであるFacebookのアカウントが必要なことで、ユーザーの安心感につながっている。

また、従来の出会い系サイトでベースとなっていたポイント制の課金方式ではなく、定額制を採用することで、サクラの存在する意味を薄れさせ、安心感をもたらしたことも成功の一因だったと考えられる。

出会いのチャンスを増やすため、とっておきの写真を投稿するユーザーも少なくないが、画像データの取り扱いには注意が求められる。

調査を行ったところ、退会が完了した場合でも、プロフィールのページは閲覧不能になるが、インスタと同様に画像URLに直接アクセスすることで画像が表示されてしまうアプリが複数確認された。

日本のマッチングアプリの草分けであるOmiaiでは退会と同時に画像データが表示できなくなったが、マッチングアプリ最大手といえるPairsと有名メンタリスト監修のwithでは、インスタと同様に画像URLに直接アクセスすることで、写真を表示することができた。

両アプリとも退会後、1カ月以上が経った今でも画像を閲覧することができているが、規約上では両サイトともに「自己が投稿等をしたコンテンツは運営会社に対して利用する権利を期限の定めなく許諾するものとする」旨が記載されており、運営側が退会後も無期限に保有することに問題はないように思える。

このインスタとマッチングアプリにおける「退会後も画像が保有されている」仕様について、個人情報保護法に詳しいひかり総合法律事務所の板倉陽一郎弁護士にコメントを求めた。