ただし注意したいのは、タスクを何でも細切れにすればいいというわけではないことです。デスクに座って、書類などの資料で問題点を調べながら、その場で考えを巡らせなければならないような仕事もあります。そういう仕事は、スキマ時間の活用の対象から外します。そしてスキマ時間を活用することで生まれた、まとまった余裕のある時間を充てるようにします。もっとも、出張で2時間、3時間の移動時間ができたときなどは、そのような仕事を行う絶好のスキマ時間となります。

就業時間中に消化する事例を紹介しましょう

では、実際にタスクを細分化して1日のスケジュールのスキマ時間に当てはめ、就業時間中に消化する事例を紹介しましょう(図参照)。部内のミーティングの企画と手配を任されたものの、それをこなすのには合計で2時間くらいかかっていました。しかし、忙しくて、まとめて2時間も空けるのはとても難しい状況です。

そこで1日のスケジュールをチェックすると、午前に会議、午後に社外で顧客との打ち合わせ、さらに、帰社してからもう2件、会議が入っています。しかし、図にあるように、会議Aの前後の空き時間、顧客のところに出かける際の移動時間など、15分単位のスキマ時間がいくつかあることがわかりました。

そして、ミーティングの企画と手配の仕事内容を考えてみたところ、①~⑧のように、タスクを15分単位の8つに細分化できました。しかも、「④日程の候補を選ぶ」「⑤(目的・課題やメンバー、候補日を)上司にメールで報告」といった仕事は、モバイルパソコンを使えば外出中の移動時間でもこなせそうです。そこで、8分割したタスクを8つのスキマ時間に割り振って取り組んでみたところ、退社時刻の18時までに見事に終わらせることができました。

スキマ時間をうまく活用すれば、仕事がスムーズに進むので、時間にゆとりが生まれます。その結果、「焦り」によるケアレスミスなども減るので、生産性も上がります。これで「時間がない」という感覚を軽減できるかもしれません。増えた自分の時間は、スキルアップのために使うなり、趣味などの自己実現に充てるなり、大いに活用してください。

(構成=野澤正毅 撮影=石橋素幸)
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