中古の中でもベンツが本当にお得なのかを検証する
数ある高級車の中で、なぜ「ベンツを買うべき」と言われているのか。これを、①新車と比較した値下がり額および②購入後の資産性という2つの視点から確認してみましょう。
高級車の内、フェラーリの中でも4人乗りの2ドアタイプであるフェラーリ・GTC4ルッソ(フェラーリ・FFの後継機)、ポルシェ・パナメーラ、BMWシリーズ7、国産車の例としてレクサスLS、そしてベンツSクラスを比較対象とします(なおフェラーリとポルシェの4人乗りを選んだ理由は後述します)。
※編集部註:初出時、フェラーリ・GTC4ルッソを4ドアとしていましたが、正しくは4人乗りの2ドアでした。訂正します。(1月22日14時20分追記)
2020年1月末現在、価格.comに基づき、新車価格の最高額と最低額の中央値を試算すると、フェラーリの新車価格3280万円、ポルシェは1971万円、BMWシリーズ7は1841万円、レクサスLSは1427万円、そしてベンツSクラスが1821万円となっています。これら新車価格を100として、同モデルの旧年式の中古価格と比較します。
結果、2年落ち中古価格は、フェラーリが99(下落率1%)、ポルシェが90(下落率10%)、BMWシリーズ7が51(下落率49%)、レクサスLSが76(下落率24%)、そしてベンツSクラスが65(下落率35%)となり、フェラーリが最も新車から値下がりしていません。ポルシェもほとんど値下がりしていませんし、レクサスLSの値下がり率も2割程度にとどまっています。すなわち、せっかく中古で買うならば、値下がり率の高いBMW、ベンツを買うほうが「お得」ということになります。
高級車の中でベンツは値崩れしにくい
次に、中古で買った後、資産性を維持できているか、言い換えれば、購入後の値下がり率はどの車種が最も低いかを比較してみます。
前提として2年落ち中古車は、車種別の走行距離の差が影響しないように、走行距離4万km以下の最高額と最低額の中央値で購入したとします。これは、高級車は観賞用として実際には使用されず走行距離が短いものが販売されているためです。そして、法定残存対応年数に合わせて4年間使用できるとします。
結果、耐用年数到来の3年目時点では、ベンツが最も値崩れを起こしていません。片や、BMWはどんどん値を下げています。つまり、2年落ち中古車を買うのであれば、ベンツが最も転売時に損失が少ないことになります。
かつて、筆者の知人で「資金繰りに困った場合は、フェラーリを売ってしまえばいい」と言っていた経営者の方がいました。減価償却による税務メリットを得つつ、中古市場価格資産価値が下落も25%程度に抑えられていますので、あながちこの発言は間違っていなかったようです。
逆にBMWは、いくら新車価格と比較して中古でお得に買えたとしても、資産性の観点からはベンツSクラスに及ばないため、将来売却を想定すると相対的優位性はありません。