近ごろは、検索エンジン作成の目的で使われる「クローラー」と呼ばれるプログラムを悪用し、インターネット上に散在するメールアドレスと思しき文字列を、自動的に判別・収集する手口が増えてきている。また、SNS(ミクシィなど)に参加する大勢の者あてに「ここにメール送ってね」など、友達募集を装ったメッセージを送りつけることも、アドレスを集める手段のひとつだ。これらの手段で集められた大量のメールアドレス情報を販売する業者も存在する。
また、岡村弁護士によると、迷惑メールの送信方法も手が込んできているという。インターネットを介してコンピュータを遠隔操作できる「ボット」なるプログラムを、添付ファイルなどで不特定多数のメールボックスあてに送りつけ、他人のパソコンを束ねて使うことによって、大量の迷惑メールをばらまくのである。他人を隠れ蓑にした犯行というだけでなく、ひとつの端末あたりの送信は、せいぜい数通で、犯行自体が目立たないのも、この手口の特徴とされる。
法律が整備されたにもかかわらず、迷惑メールが後を絶たないのは、法律の適用例が少なく、宝の持ち腐れになっているのも一因だ。岡村弁護士は「規制法そのものは十分に整備された。後は警察や関連省庁などによる運用の問題だ」と指摘する。犯行と取り締まりのイタチごっこに、終止符が打たれる日はくるのだろうか。