裸画像を「エロい」「キレイだ」と褒められて、また送る
【3:承認欲求】
埼玉県に住むC子(現中1)のケースはこうだった。C子は自営業の父親と家業を手伝う母親との間に生まれた一人娘。どちらかと言えば裕福な家庭である。
そのC子はネット掲示板で知り合ったという「大阪在住の大学生・翔」から「愛の証」として裸画像を求められ、送ったという。
C子は筆者にこう言った。
「写真を送ると、翔が言ってくれるんですよね。『エロいね』って……」
C子はまんざらでもないという表情だ。聞けば、「エロい」だけでなく「キレイだ」「もっと見たいな」「最高だね」といったメールがくることもあり、彼女はそれらを「最上級の褒め言葉」と捉えている。
ネット上の見ず知らずの男性(人物)であっても、「認めてもらえる」ということはスペシャルな体験であるのだ。送ったのが、自分の裸の画像であったとしても。
「翔はすっごく自分(C子)のことを大事にしてくれて、すっごく満たされたんですよね」とC子。
C子の家庭では定期的に親がC子公認でスマホのチェックをしており、その過程で発覚したという。もちろん、C子の母親は、最低限のネットリテラシー教育をスマホ購入時にしていたというし、当然、フィルタリングもかけていたというが、親自身がスマホの操作に困るとC子に尋ねていたということで、結果として、被害を防げなかった。
冒頭で紹介した警察庁の調査結果によれば、被害児童のうち「学校で指導を受けていた」と回答した者は約5割。約9割が被害時にフィルタリングを利用していなかった。
親が、心と体が未完成である思春期の子供たちを守ることが、とても難しい世の中になった。リスク回避として、「スマホの没収」「ネットの利用時間制限」という対策法を打つ保護者は多いが、もはやそれだけではうまくいかない。
もしもわが子が「閉塞感」や「空気を読む」行動、あるいは「我慢」だけを強いられる日常で“自分らしさ”を認めてもらえない現状に疲れ果てているのであれば、まずは親こそがゆっくりと話を聞いてあげる環境を作ることが、「裸画像を安易に送信」という軽率な行動の抑止力となるのではないか。