この時期に大量に売られている「赤い下着」の謎
「紅」(ホン)という中国語には「人気がある」「順調」という意味があり、中国で人気のカリスマブロガーは「網紅」(ワンホン=ネットの人気者)と呼びます。
赤には古くから太陽の力、血液の力が宿っているとされ、邪気を払い、パワーをつけるという意味があります。中国共産党のシンボルカラーも赤。中国国旗は「五星紅旗」といい、赤地に5つの黄色い「五芒星」を配したもの。
日本でも中国といえば赤、というイメージが定着しているため、中国関連の書籍のカバーは多くが赤い装幀になっています。
中国から日本に伝わってきた風習として、日本人に身近なものといえば、還暦のときに着る赤いちゃんちゃんこがあります。干支が60年で一巡し、再び赤ちゃんに戻る、邪気を払うという2つの意味があるとされています。
一般的に、日本には邪気を払うために赤いものを着るという風習はありませんが、中国では年男、年女のときに赤い下着を着る習慣があるのをご存じでしょうか?
年男、年女はよくない年といわれ、赤い下着を身に着けることで悪いものが入ってこないようにするのだといいます。春節の1カ月ほど前から、中国の百貨店やスーパーに行くと、真っ赤な下着が大量に売られているのです。日本人が見たら、ちょっとびっくりするかもしれません。
「恥ずかしいしダサい」という一方、「無病息災だった」の声も
中国各地の友人に聞いてみると、どの地方でもたいていある習慣だそうですが、どのくらいの期間、赤い下着を身に着けるかは、かなり個人差があるという話でした。
「春節の期間中だけは毎日着ていました」と話してくれたのは上海在住、河南省出身の40代の女性。
「真っ赤な下着なんて恥ずかしいし、ダサいし、あまり気が進まなかったけれど、河南省の母親が買って待っていてくれたので、帰省している間だけ我慢して着ていました。そのあと、上海に戻ってからはもう着ていません」とのこと。
広東省在住の40代の女性は「赤い下着なんてまったく着なかったし、一枚も買いませんでした。あれはただの“迷信”ですよ。でも、父母の世代はけっこう気にしますね。父はもったいないからと、年男じゃなくなっても着ていました」と話していました。
一方、北京在住の男性は「年男の間はけっこう着ていました。おかげで無病息災でしたよ。でも、夏場は薄着になるから、着にくいですね(笑)」と振り返ります。百貨店やスーパーで大量に販売されているところを見ると、多くの年男、年女、あるいはその家族が今でもこの風習を守り、赤い下着を購入していることがわかります。