がん治療はチームの総合力が問われる

がんの場合、各地域でがん医療の中心となる病院として、全国377カ所のがん診療連携拠点病院が指定されている。拠点病院に行けば、どのがんでも現時点で最高レベルの医療が受けられるのであれば簡単だが、いまのところ拠点病院にも差があり、部位によってはそれ以外の病院でもがん治療に強い病院がある。

ただ、信頼性の高いDPCのデータも万能ではない。大病院のほとんどが導入するようになったとはいえ、まだDPCを導入していない病院があるからだ。治療実績が多くても、診療録情報の重複提出があった病院、DPC参加病院でも準備病院でもない医療機関はランキングの中に入っていないことをお断りしておく。また、DPCは入院患者のみを対象にしているので、日帰り治療を受けた患者は症例数に入っていない。例えば、大腸がんの内視鏡治療を日帰りで行う病院も増えているが、その実績は表中の数値には反映されていないわけだ。

とはいえ、これだけ多くの病院の詳細なデータが公開されたのは画期的である。

「がん治療には、チームとしての総合力が大切です。症例数が多ければ、めったにその治療をやらない病院と比べて、診断、治療、管理までチームとしてその治療に慣れている可能性が高い」

癌研有明病院の中川健院長は、そう話す。がん治療に関しては、化学療法、放射線治療、その2つの治療の併用など手術以外の入院治療の症例数を表す「手術なし」の件数も掲載した。化学療法は外来で行われることも多くなっているが、全身的な管理が必要な場合には入院による治療が行われており、化学療法や放射線治療と併用した化学放射線療法に慣れているかを見る目安になる。

DPCを導入している病院には大病院が多いにもかかわらず、分野によっては症例数が少ない病院もあった。命の危険もある心臓手術や肺がん手術を年間で1桁しか行っていない病院もある。例えば半年間で10例なら1カ月に1~2回しかその手術を行っていないことになる。