さらに、足裏を刺激しながら立つと、運動系脳番地の背後に接している感覚系脳番地に影響を与え、感情系脳番地を刺激して脳をより覚醒させることができます。たとえば、その場で軽く足踏みをして立つと、足の裏がマッサージされ、楽になったり気持ちが良くなるのは感覚系を通じて感情系が刺激された結果なのです。
「立つ」動作が自分の意志を鍛える
一方、「座る」という動作は、身体の下半身を動かす運動系脳番地を使うことが少なく、刺激が限定的になります。そのため、座ったら力が抜ける、眠くなるという状態に陥ってしまい、最寄りの駅に降りるまで、頭が働かない状態になってしまいます。
ただ、水平に見たり見下ろしたりする「立つ」動作と違い、「座る」と下から上を見上げるように視野が広がります。視覚系脳番地の刺激に変化をつけたいときには、立ったり、座ったりするのも効果的です。
ちなみに「立つ」動作には、自分の意志を鍛える効果もあります。揺れの中でも何とかバランスをとろうと思考系から運動系へ指示を出すので、思考系脳番地が鍛えられます。その他にも、立って身体を動かすことで、その日の身体の調子も把握できたりするので、やはり「立つ」ことでの効能は大きいと思います。
真ん中の席で無意識の気配り、注意力を鍛える
端の席に座る vs 真ん中の席に座る。どちらのほうが脳を活性化するでしょうか?
これは、「真ん中の席」を選んだ人が正解です。
端の席に座っている人に比べて、周囲の人と関わる頻度や、交差する視線などが圧倒的に多いのが「真ん中の席」。無意識ながらも周囲への気配りが頻繁に行われるので、視覚系脳番地や感情系脳番地などの働きを高めることができます。中でも、「注意力」に関わる理解系脳番地は他の脳番地以上に活発に動くので、鍛えられます。
実は人それぞれ、見ている(注意している)方向には偏りがあります。右利きの人なら右側に、左利きの人なら左側に注意がいきがちです。
私たちの身体は、普段使わない部位には注意が向きにくいようになっています。たとえば、足の爪。普段から靴下を履くときに視界に入るはずなのに、「あ、引っかかる」と思って久しぶりに見ると爪が伸びていた、という経験があるのではないでしょうか。だから、右利きの人なら身体の左側がぶつかりやすい、というような傾向にあります。