「半側空間無視」という高次脳機能障害を聞いたことがあるでしょうか?

脳梗塞が起きると、目では見えているのに片側の空間にある人やモノが認識できなくなるという障害です。お茶碗にあるごはんを半分残したり、認識できないほうから話しかけられると反応できなかったりします。

これは、脳の片方の機能(多くは右脳の理解系脳番地)が損傷することで起こりますが、機能が損傷しなくても、普段からあまり使わないことで機能が衰え、片側にしか注意が向かなくなるといったことは日常的に起こりうることです。

そこで、「真ん中の席」に座り、右利きなら左側を、左利きなら右側を主に意識して見てください。脳の衰えている(弱い)部分を鍛えることができます。それによって、ケアレスミスを解消できたり、人の心の機微をみとれたり。

店長や支店長など組織をまとめるような上の立場の人であれば、俯瞰的に店舗やオフィスを見渡したときに、気づくことも増えてくるようになります。ぜひ、電車内では率先して「真ん中の席」を選択してみてください!

「何もしない」が眠っている能力を引き出す

(満員電車では)何もしない vs 文字を読む。どちらのほうが脳を活性化するでしょうか?

正解は「何もしない」です。

満員電車の中は、自由に動けないことによる身体的負担や、人と人との距離が近すぎることでの心理的ストレスなど、刺激にあふれています。集中して「文字を読む」ことで、それらの不快な刺激をシャットアウトすることも可能ですが、脳番地を鍛えるという意味では実は「何もしない」ほうが効果が大きいといえます。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/xavierarnau)

普段忙しく毎日を過ごしている人であれば、満員電車であっても、少しのすき間があればスマホを見たり、本や新聞を読んでいるのではないでしょうか。

そういう、学びの習慣が身についている人にとってはむしろ、「何もしない」ということは初めての経験に等しいことなので、脳にとっては大きな刺激となります。

実際「何もしない(立ち止まる)」ことは、普段、すぐにスマホの中の活字に目がいく脳習慣を断ち切る意味で、何らかの動作をするのと同じくらい思考系脳番地を使い、前頭葉が非常に活性化します。

普段コーヒーを1日5杯飲んでいる人が、1週間飲むのをやめてみるのと同じくらい、脳の癖になっている衝動を抑えるために、思考系脳番地が働くのです。