「現金で」使う感覚を養う

とはいえ、実際に子どもたちがお金の価値をしっかりと理解し始めるのは10歳ごろ。しかも個人差があります。

たとえば、娘が小4のとき、500円のおこづかいをもらったその日に500円分の買い物をしてしまい、その後、出かけるたびに10円のお菓子も買えないことにガッカリする、というような場面も目にしてきました。

お金の価値をわかり始めてはいるものの、目の前の「欲しい!」に流され、計画的に使えないこともあるわけです。ただ、そういった小さな失敗によって、「一気に買っちゃうとあとで大変」ということを学び、翌月以降は我慢するようになります。

また、最近はスイカやパスモなどの交通系のICカードが普及してきたため、子どもたちも電子決済で支払う場面が増えています。こうした決済手段のない時代に成長した私たちは、「チャージするんだから、結局これは現金を使うのと同じこと」という自覚がありますが、子どもたちが同じようにとらえているかはわかりません。

そんな時代だからこそ、小さいうちから現金でお金を使う感覚を学ぶ必要があります。これは大人も同じですが、「お金としての実態」を感じていないと、ついつい浪費してしまうからです。

お金に限りがあることを知る

「お金という実感」がないという意味で、私は必要なときに渡す一時金制をあまりおすすめしていません。親がしっかり使い道を管理しないと、それが「本当に必要な使い方」かどうか曖昧になるだけでなく、子どもに「お願いしたら、お金が出てくる」「ちょうだいと言えばいい」という感覚を持たせてしまうからです。

家計相談では、専業主婦の方から「私は専業主婦だし、稼ぎが少ないからおこづかいをもらえてないんです」というお話をよく聞きます。しかし、掘り下げて確認すると、スーパーでの買い物のときなど、家計から自由に使っているケースが多々あります。

おこづかいに換算して計上すると数万円。でも、本人はおこづかいなしでコツコツ節約しているという感覚です。子どもへの一時金制も似たようなズレを生む可能性があります。