男性以上に積極的に「学ぶ姿勢」を維持し続けた50代女性

【2.キャリア形成で役立ったこと・50代管理職の男女の違い】

同調査によると、男性管理職と女性管理職で、「キャリア形成に役立った」と考える会社の取り組みや制度にも違いがあることが読み取れます。

「キャリア形成に役立った」取り組みや制度として、男性管理職、女性管理職ともに、「上司によるキャリア形成の後押し」(男性管理職77.3%、女性管理職81.0%)が最も多くなっており、「資格取得や研修受講の費用援助」(男性管理職63.2%、女性管理職77.3%)、「外部組織への会社からの派遣(セミナーなど)」(男性管理職52.1%、女性管理職68.2%)と続きます。順位は同じであるものの、いずれも女性管理職の回答選択率が多くなっている点が特徴的です。

「均等法第一世代」は結婚・出産後も仕事を続ける女性が少なかった時代に働きました。男性に比べて会社から与えられる機会は女性のほうが少なかったはずです。しかし、彼女たちは、与えられた機会から積極的につかみ取ろうという姿勢を常に持っていました。

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この結果を踏まえ、21世紀職業財団の上席主任・主任研究員、山谷真名氏はこう語ります。

「今回の調査結果からは、男性に比べて女性のほうが、自身のキャリアをつなげていこうという意識が強く感じられました。若い頃から、キャリアについて考える機会が多かった(あるいは考えざるをえなかった)からこそ、ライフイベントはもちろんのこと、上司からの支援や研修機会など、さまざまな経験や機会を自分のキャリアの糧にしていると感じます」

善良な男性上司がいたから彼女たちは出世できた

インタビュー調査でも、50代女性管理職から下記のような声が聞かれました。

<あまり役職につきたいと思っていなかったのです。バブリー時代なので、女性社員は多かったのですが、役職は男性がなるものという意識があって。上司から「ノミネートしようと思う」と言われて、できる自信がないとお話をしたら、「なんで君は総合職で入ってきたの」と問われ、確かにそうだなと。「男性だからって自信があって誰でもなるわけではないし、皆やりながら成長していくものだから、(あなたなら)十分にできるはずだから、チャレンジしてみたら」という話で。上司に恵まれていたと思います>
<上司がいい人だったのか、厳しかったのか、「もう母親1人で育てていくのだから短時間(勤務)なんてやっていないでフルタイムで働きなさい、しっかり仕事をしないと子育ては一人ではできないぞ」みたいなことをしょっちゅう言われて、そんなに言うなら、じゃあやってやれみたいな感じで(笑)、フルタイムに(子供が)3歳ぐらいの時に戻して、そこからが自分の仕事が変わっていく転機になったのです。(中略)そこから自分が考えた仕事を始めたり、(新しいことに)チャレンジしたり、ということをやり出したと思います>

彼女たちが出世・昇進できたのは何より「自助努力」が大きいですが、それだけでは組織の上の立場になることはできません。上記のインタビューにあるように、陰で支えた男性上司の存在が不可欠だったのです。

昔も今も、男性上司の中には女性総合職などバリバリ働く女性に対してネガティブな考えを持つ人が少なくありません。しかし、理解のある男性上司もいて、実力とやる気のある女性を正しく評価して引き上げようとするのです。そうした善良な男性上司に恵まれるかどうか。それは出世・昇進の鍵と言えるかもしれません。