迫るリストラの恐怖、踏ん張るしかない中年男性

大手企業の役員だけではない。大多数のサラリーマンにとって、中年退職は極めて深刻な問題だ。2015年、ソウル市が50~64歳のソウル市民1000人を対象に実施した「ソウル市の50+(プラス)世代の人生二毛作の実態と欲求調査」によると、ソウルに住む男性の退職年齢は平均53歳、女性は平均48歳だった。

しかも、退職後の再就職率は53.3%にとどまる。平均寿命が82.6歳(2017年時点)の韓国で、50代前半で会社から追い出され、再就職の道も半ばふさがれているのだ。

就職サイトの「インクルート」が2018年に行ったアンケートによると、40代と50代の91%が、「中年失業率の増加を実感している」と答えた。その理由としては、「再就職を準備する40~50代が増えた」「退職する40~50代が増えた」「起業を準備する40~50代が増えた」が挙げられている。

現在、韓国の経済状況は「IMF危機以降最悪」とも評価されている。最も深刻なのが青年の失業問題で、韓国統計庁によると、2019年4月現在、韓国全体の失業率は4.4%、青年失業率は11.5%と、どちらもIMF危機以後、最高水準だ。ここに、社会と家庭の中枢を担う中年の失業率も高まり、大きな社会問題となっている。

韓国の中年男性にとって、退職は死刑宣告と同じだ。若い頃は、良い待遇を求めてあちこち転職することも可能だが、40代半ばになると、いくら実力のあるサラリーマンでも転職はほぼ不可能になる。

迫りくるリストラの恐怖の中で、どうにか生き残れるよう踏ん張るしかないのだ。

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