「桜を見る会」について聞いたのは1社だけだった
安倍氏の長い口上の後、質疑が始まる。幹事社の日経新聞が憲法改正について質問。もう1社、幹事社のテレビ東京が「桜を見る会」について、①破棄されたという招待者名簿のデータを探し出すように指示を出す考えはないのか、②ジャパンライフの山口隆祥元会長とは面識がないのか——と聞いた。ここで初めて「桜」が登場する。
安倍氏は「桜を見る会について、国民の皆さまからさまざまなご批判があることは十分に承知している」とした上で、名簿発見に向けてあらためて指示を出す考えはないこと、山口氏とは個人的な関係はないことを説明。従来の発言とほぼ同じ内容だった。
会見は次にブルームバーグが日中関係について、NHKが衆院解散について、ニコニコ動画が若者の選挙離れについて、そして読売新聞が自衛隊の中東派遣について質問。30分あまりで会見は終わった。
結局、「桜を見る会」についての質問は1回だけ。質疑あわせて3分程度。会見全体の10分の1程度にとどまった。
国民の関心を無視した期待外れの会見だった
憲法や衆院解散、自衛隊の中東派遣も大切な政治課題であることは論をまたない。しかし今、国民の関心事は「桜を見る会」だ。期待外れの会見だったと言わざるを得ない。
11月15日、安倍氏が記者団の囲み取材に応じた時、記者団が「改めて会見を開かれるお考えはないでしょうか」と質問。安倍氏は「もし質問されるんだったら、今、質問されたほうがいいと思います。今、質問してください」と返答したことがあった。
この時は、記者会見に応じようとしない安倍氏の消極的な姿勢に批判が集まった。しかし、せっかく会見したのに1社しか質問しない、ということには報道陣の追及姿勢にも批判が高まることだろう。