以前は元気な高齢者と不元気な高齢者が分かれていたが

まず、合計点数のもっとも高いA区分からもっとも低いE区分に分けた総合評価別の人数構成比を見てみよう。2003年から15年後の2018年への変化を見るとおおむね全体的に向上しており、高い区分と低い区分が両極化しているようには見えない。

次に、ばらつきを1つの指標であらわす時に使われる変動係数の毎年の推移を各5歳別の年齢層で追ってみよう。

変動係数の水準そのものは、60代後半より70代前半、70代前半より70代後半のほうが大きくなっていることがわかる。これは、高齢者になればなるほど元気な高齢者と不元気な高齢者とが分かれてくることを示している。

ところが、男女・年齢別の時系列変化(2003年→2018年)を見ると、いずれの層においても、傾向的に変動係数が低下し、ばらつきが小さくなってきていることが明らかである。すなわち、高齢者間の健康格差は縮小に向かっているのである。それとともに、加齢に伴う健康格差拡大自体も遅くなっているといえる。

高齢者間の体力のばらつきは小さくなっている

このように、少なくとも体力テストに参加できるような高齢者層については、相互に格差は広がっていない。むしろ、加齢に伴って大きくなりがちな高齢者間の体力のばらつきは小さくなっており、全体として高齢者が若返っていることを証明している。

老老格差が拡大している中で高齢者の頑張りに期待するとそれだけ弱者の高齢者の負担が増してしまうので、格差やばらつきの認識は重要である。高齢者間の格差が拡大していないとすれば、一般論として、元気な高齢者がそれぞれの分野で活躍する機会が増え、日本経済復活の切り札となることも期待できそうである。