いまのお年寄りは、かつてのお年寄りより元気ではないだろうか。統計データ分析家の本川裕氏は「スポーツ庁や厚労省のデータを分析すると、現在の75歳は20年前の65歳と同じレベルの体力がある。また物忘れの自覚症状を訴える人も激減している。全体として日本の高齢者は若返っている」という——。
昔と今の高齢者の体力知力はどう変化したのか?
日本では、世界のどの国も経験したことのないような高齢化社会を迎え、経済を支える労働力の不足に対しては、これまでを大きく上回る女性・高齢者の社会進出に大きな期待がかけられている。
女性の社会進出をめぐっては、家事の夫婦分担の見直しや保育所の整備などが課題として大きく取り上げられているが、高齢者の社会進出にとってキーとなるのは高齢者の健康度である。そもそも体力が充実してなければ、各分野でこれまで以上の活躍を高齢者に期待することは無理だからだ。
高齢者はますます元気になっている。あるいは若返っているとも言われる。これは本当だろうか。
今回は、高齢者の体力や健康度はどの程度向上しているのかを統計データで検証してみることにする。最初にスポーツ庁によって全国で実施されている体力テストの結果を紹介し、次に、厚生労働省の健康調査の結果から、高齢者のからだの不調の様子をうかがうことにする。そして、最後に、高齢者間で元気な層と不元気な層とに両極化していないかも確認してみよう。