この20年間に高齢男性は5歳以上、高齢女性は10歳若返った
スポーツ庁(設置以前は本局の文部科学省)では、生徒・学生や65歳未満の成年層に加えて、65歳以上の高齢者層を対象に体力・運動能力を47都道府県で毎年継続的に調査している。ここでは、測定方法が変更されて新体力テストがはじまった1998年度から20年間の時系列変化をテストの合計点で追ったグラフを掲げた(図表1参照)。
65歳以上の高齢者対象のテストの内容は、握力、上体起こしなど6項目である。各項目の得点基準は各年齢で同じだが、男女では異なるので同じ年齢層であっても男女の体力を合計点で比較することはできない。しかし、それぞれの時系列比較は有効であるし、年齢間の比較も可能である。
5歳刻みの年齢層を比較すると、当然ながら、歳を重ねるごとに体力が落ちていく。しかし、時系列的には、男女ともに各年齢層で体力向上が目覚ましい点が目立っている。高齢者の体力や運動能力は明らかに向上しているのである。
図表から、1998年の「65~69歳」の点数(青線)が、20年後の2018年のどの年齢層の点数と同程度かを調べてみると(矢印のついた点線で表示)、男性の場合は、「70~74歳」と「75~79歳」の中間程度、女性の場合はほぼ「75~79歳」と同じ水準となっていることがわかる。「70~74歳」の点数についてもほぼ同様の傾向にある。
つまり、この20年間に、高齢男性は5歳以上、高齢女性は10歳程度、体力的に若返ったと見なすことができる。