対応が続く分だけ、残業代というコストも積み上がる

そもそも災害対策本部は非常時に立ち上がる組織であり、長く設置すれば副作用も出てくるのが自然である。たとえば本部への情報集約の建前から役所内での報告事項が増えるし、他部局との調整も通常より密に行われる。

そのため、窓口など通常業務に支障をきたすこともある。また、忘れられがちなことだが、こうした特別対応は職員に時間外勤務を強いることであり、対応が続く分だけ残業代というコストも積み上がっていく。

となると、単純に「災害対策本部が置かれていれば安心」と評価するのではなく、非常時体制の設置と運用が適切だったのかを問うのがジャーナリズムの役目だろう。報道機関のみならず納税者の側も、熊谷氏の指摘に耳を傾けるべきである。

関連記事
橋下徹「上流の氾濫で下流が助かる治水の現実」
JRの「計画運休」に怒らなくなった日本人の進歩
タワマン「年収10倍住宅ローン」の末路
狂気に走る静岡県「リニア新幹線を、ぶっ壊す」
徳川家康が河川工事から手をつけた3つの理由